『眼球堂の殺人 ~The Book~』 周木律 > 「このミス」完全読破 No.652
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.652
『眼球堂の殺人 ~The Book~』 周木律
「このミス」2014年版 : 22位
受賞(候補) : 「メフィスト賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 19位
読始:2013.5.16~ 読終:2013.5.27
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : ノベルス <2013年4月>
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放浪の数学者である十和田只人と、十和田に付きまとうライターの陸奥藍子が訪れたのは、山奥に建てられた奇妙な建物“眼球堂”。
この眼球堂は、“建築学こそがあらゆる科学の頂点に立つ”と常々吹聴している、世界を代表する建築学者・驫木煬の新居で、驫木から招待を受けた各界の天才たちが、すでに十和田たちよりも前にこの眼球堂に到着済み。
しかし、緊張感のある顔合わせも終わり、夜が明けて眼球堂での2日目を迎えた途端に、ある人物の変死体が驚くべき場所で見つかって.....。
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というわけで、第47回メフィスト賞受賞作である、周木律のデビュー作です。
“眼球堂”という奇妙な館に、個性的な人物たちが招かれて、舞台は“嵐の孤島(または雪山の山荘)”状態と化し、連続殺人事件が起こるという、“これぞ館ミステリ!”といった感じの本格ミステリ的展開が繰り広げられていきます。
さらに、数学や建築学などの専門知識もほど良く入り、意外な場所から変死体が現れ、“読者への挑戦状”的なものもあり、大胆で大掛かりなトリックが仕掛けられ、ラストにはサプライズが用意されていたりと、まさに“昔ながらの館系本格ミステリ”の要素が存分に詰め込まれているのですね。
ただそれは見ようによっては、これまで発表されてきた館系本格ミステリの焼き直しのようで、真新しい狙いや挑戦などはない、とも捉える事が出来てしまい、実際に真犯人やトリックなどは早い段階からわかってしまった人も多くいるようです(自分は真相が明かされるまで特にピンとは来ませんでしたが)。
とはいえ、主人公である数学者・十和田只人の変人キャラがなかなか魅力的で、助手役である陸奥藍子とのやり取りも楽しいですし、小難しい所がなくて読みやすく、(変にひねりや実験的な要素を入れていない)館ミステリとしてオーソドックスな内容だからこその面白さがやはり感じられますからね。
なので、今の時代だからこそ書ける館ミステリ(本格ミステリ)の新たな魅力や新鮮味などを期待してしまうと手応えないかもしれませんが、古き良き時代の館系本格ミステリを味わえれば充分だというならば、本作を大いに楽しむことが出来るのではないでしょうか。
なお、早くもシリーズ続編であるNo.739「双孔堂の殺人 ~Double Torus~」が今年(2013年)夏に発売予定とのことです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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