『定吉七番の復活』 東郷隆 > 「このミス」完全読破 No.649
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.649
『定吉七番(セブン)の復活』 東郷隆
「このミス」2014年版 : 52位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.4.30~ 読終:2013.5.1
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年1月>
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「定吉七は丁稚の番号」「ロッポンギから愛をこめて」「角のロワイヤル」「ゴールドういろう」「太閤殿下の定吉七番」に続く、“定吉七番シリーズ”の6作目です。
この“定吉七番シリーズ”というのは、現在は時代小説作家として活躍している東郷隆がそれ以前に書いていたシリーズでして、これまでの作品は全て80年代に発表されています。
内容の方は、本作以前の作品タイトル(全て映画『007』が元ネタ)からもわかるように、映画『007』シリーズのパロディを中心としたスパイアクションコメディ作品なのですが、当時はかなりマニアックな人気を博していて、PCエンジンでゲーム化されたりも。
1988年に「太閤殿下の定吉七番」を発表した後は、1994年に「ネバー・セイ・ネバーおいでやす」を雑誌で連載するも、敵のモデルに使った宗教団体が大事件を起こしたため自粛により未完となるなどありながら、本作にて実に25年ぶりのシリーズ復活となったのですね。
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というわけで本作ですが、訳あって氷漬けの冷凍保存状態にあった“殺人許可証を持つ丁稚”こと殺人スパイの定吉七番が、若いまま現代によみがえって、かつて所属した大阪商工会議所に復帰し、関東の秘密結社"NATTO(ナットー)"と久々に激闘を繰り広げていきます。
そんなスパイアクションの中で、(『007』や他のスパイ映画だけでなく)様々なジャンル・作品のパロディに、かなりぶっ飛んだキャラクター揃いの登場人物たち(実在の人物がモデルとなった強烈キャラもあり)、そして大阪ネタ・時事ネタを中心としたギャグ的やり取りが所狭しと散りばめられているので、コメディとはいってもお笑いコントに近いほどのバカバカしさがありました。
自分がこのシリーズ作品を読むのは本作が初めてで、そういったギャグっぽい内容であることは噂で聞いていたのですが、実際に読んでみたら予想以上のバカバカしさ&くだらなさに驚いてしまったものの、そのあまりのはっちゃけぶりと徹底したパロディ精神を堪能していくうちに、ニヤリとさせられるだけでなく、いつしか深い感銘さえ受けてしまったほどですからね。
しかも、そういった内容でありながら、文章的には古き良きスパイ小説的な香りのする硬派とも言えそうなものなので、単なる軽いノリのギャグ小説ではなく、スパイ小説として読ませるところはしっかりと読ませる腕前が素晴らしかったです。
かつての常連キャラクターたちが再登場したり、定吉七番や"NATTO"の重要な秘密がここに来て明らかにされるなど、シリーズ愛読者に向けたサービスに満ち溢れているので、かつてのシリーズ作品を読んでいた方が楽しめるのは間違いないと思います。
ただ、初めてこのシリーズに触れる人であっても、このバカバカしいノリについて来れるという大事な前提条件がありますが、充分にこの作品&このシリーズの魅力を堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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