『ロスト・ケア』 葉真中顕 > 「このミス」完全読破 No.643
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.643
『ロスト・ケア』 葉真中顕
「このミス」2014年版 : 10位
受賞(候補) : 「日本ミステリー文学大賞新人賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 5位
「週刊文春ミステリーベスト10」 14位
読始:2013.4.12~ 読終:2013.4.15
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年2月>
ロスト・ケア (光文社文庫) 葉真中 顕 光文社 2015-02-10 売り上げランキング : 6501 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作にして、葉真中顕のデビュー作です。
選考委員満場一致の大絶賛を受けていますし、発売後も各方面で高評価を得ているので、新人賞としてはかなり評判が良いようですね。
そして実際に読んでみれば、そんな多大なる評価が過剰ではないことが実感できるほどの傑作でした。
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内容的には介護問題を扱っているのですが、そういった作品によくある一般家庭における介護の大変さをあらわすエピソードだけでなく、老人ホームや訪問介護における介護する側・される側それぞれの現状、そして介護企業や介護保険制度に関してなど、単に介護問題といってもその扱われる範囲は幅広いです。
しかも、これから押し寄せてくる高齢化社会、それに伴い発生する問題点や危機的状況、さらには尊厳死などにも触れられるので、社会派ミステリとして訴えかけてくる強い力がありますし、介護問題についてあまり関心がなかった人などは知識や現状認識を得るという部分にも興味深く感じられるかもしれません。
ただ、本作はそんな社会派なドラマ性のみが魅力なのではありませんでして、43人もの人間を殺害した殺人犯を巡る物語が描かれていく中で、いくつもの事件やエピソードを交えながら真相へと導く構成や、複数の人物の目線で語らせていくことで事件の本質がリアルに浮かび上がってくる演出など、巧みな技が絶妙に効いているので、ミステリ的にも読んでいてグイグイと惹き付けられるものがありました。
しかも、新人作品にありがちな、作品のテーマ性(または物語)とミステリ要素とを強引に掛け合わせてしまったような不自然さはなく、逆に介護問題のエピソードとミステリ要素とが自然な形で密接に結びついているので、社会派ミステリ作品としての完成度は新人離れしたレベルにあるといえるでしょう。
とはいえ、ミステリ的な衝撃や驚くほどの意外性があるわけではなく、どちらかといえばミステリというよりは社会派ドラマとしての読み味の方が強いですが、エンタメ的な演出も見事なので重いテーマ性を持っているとはいえ堅苦しい読み応えではないですし、誰もが考えさせられる部分があると思うので、読めばこの作品の持つ魅力を少なくとも一つは感じられるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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