『桜ほうさら』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.638
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.638
『桜ほうさら』 宮部みゆき
「このミス」2014年版 : 62位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「この時代小説がすごい!(単行本部門)」 3位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 44位
読始:2013.3.21~ 読終:2013.3.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年2月>
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笙之介は、上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかっていた古橋家の次男坊。
父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられた末に切腹したものの、父の無実を信じ続ける笙之介。
事件の真相を掴み父の汚名をそそぐべく、黒幕を探る目的で、身分を偽りつつ江戸の長屋で生活することに.....。
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というわけで、宮部みゆきの2013年最初の新作は、得意ジャンルの一つである時代ものです。
浪人(主人公)が事件の真相を(自分の立場を偽って)探っていくハードボイルドミステリ的な筋立てとなっているのですが、主人公はおだやかでお人好しでほのぼのとした性格ですし、事件の究明よりもそんな主人公の日常を中心に描いていくので、江戸人情ものとしての読み応えの方が強くなっています。
主人公と同じ長屋の住民たちとの掛け合いや、主人公の後ろ盾となっている人たちとのやり取り、強いコンプレックスを抱える女性との微笑ましい恋愛模様など、これぞ人情劇といった物語が、時に楽しく、時に切なく、時に熱く感動的に描かれていくのですね。
だからといってミステリ要素が取って付けたレベルで終わっていないのは、やはり宮部作品なので当然でして、各章ごとに起きる事件や騒動により、物語や登場人物たちに厚みや深みを生み出していきますし、全体を通して語られる父の死をめぐる謎についても、一つの藩を巻き込むお家騒動と主人公の身近な人間関係とが上手く絡み合い、主人公自身のドラマ性を高めるのに効果的に働いていたように思います。
大作というよりも良作といったタイプにしては全体的なページ数はかなりあり、最初の方では搗根藩・江戸それぞれでの主人公の立場や状況説明が中心となっているので、誰もが読みやすい作品というわけではありませんが、江戸人情物語としても時代ミステリとしても“やはり宮部みゆきの時代ものに外れはない”と改めて思わされる面白さを堪能できるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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