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2013年4月14日 (日)

『望郷』 湊かなえ > 「このミス」完全読破 No.637

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.637

 『望郷』 湊かなえ

   「このミス」2014年版 : 投票数0

   受賞(候補) : 「日本推理作家協会賞(短編部門)」
               受賞作 『海の星』 収録
             (「直木三十五賞」候補)

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2013.3.20~ 読終:2013.3.20

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2013年1月>

望郷 (文春文庫)望郷 (文春文庫)
湊 かなえ

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 湊かなえは、デビュー作No.127「告白」が大ヒットすると、その後に発表した作品もことごとくヒットし、今では完全に人気作家の仲間入りを果たしています。

 とはいえ、複数のミステリ系ランキングで軒並み上位にランクインした『告白』以降は、ランキングで名前を見ることもほとんどなく(『往復書簡』が“週刊文春ミステリーベスト10”で14位に入ったくらい)、文学賞を受賞することもなしと、ランクインや受賞などの分かりやすい評価は得ていませんでした。

 しかし、「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞・短編部門を受賞し、久々に具体的な高い評価を受けまして、その受賞作を含む連作集が本作なのですね。

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 というわけで本作は、「みかんの花」「海の星」「夢の国」「雲の糸」「石の十字架」「光の航路」の6作から成る連作集です。

 連作といっても、登場人物が同じだったりストーリーが続いていたりするわけではなく、瀬戸内海にある白綱島(という架空の島)で青春時代を過ごした人物の目線で語られていく、といった共通点で結ばれています。

 青春時代とはいえ、そこはやはり湊作品なので、イジメを受けていたりとか、家庭環境が最悪だったりと、当事者が振り返りたくもならないような内容なので、イヤミス的な読み心地があります。

 ただ、大人になった主人公たちがそんな暗黒な青春時代を振り返る出来事が起き、それがきっかけでその当時に抱え込んでいた謎や誤解が解き明かされることで感動が呼び起こされるので、イヤミス的な外観に覆われながらも、中身の方はそういったドロドロとした刺激よりも心にじんわりと染み込んでくるドラマ性の方が上回っているようでした。

 そして、誤解や謎が解き明かされる部分にミステリ的な読み応えがありまして、作品ごとにミステリ度の差はあるものの、特に受賞作などはいくつもの伏線の効果により物語が反転することで、心に響いてくるドラマ性が鮮やかに浮かび上がってくるので、さすが受賞作だと思わず唸ってしまうほどでしたね。

 ただ、あくまで物語を演出するためにミステリ的仕掛けが使われているので、日本推理作家協会賞受賞作を含む作品集だからといって本格ミステリ的にガッツリとした読み応えを期待してしまうと、少々物足りなさを感じてしまうかもしれません。

 『告白』やドラマ化されたばかりのNo.345「夜行観覧車」のような派手な展開や刺激的な演出などはなく、物語をじっくりと読ませるタイプの連作集ですが、それゆえに新境地とも呼べるくらいの魅力が見事に生み出されているので、元々の湊作品好きな人にはもちろん、未読の人や最近はご無沙汰という人にもお薦めですね。


> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


 本格ミステリ度  : ★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★       おどろおどろ度 : ★★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★       人間味ドラマ度 : ★★★★
 下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★★★
 衝撃バカミス度 : ★★       気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “湊かなえ” 関連記事 】

  > No.833 「リバース」
  > No.637 「望郷」
  > No.438 「花の鎖」

  > No.345 「夜行観覧車」
  > No.306 「Nのために」
  > No.211 「贖罪」
  > No.165 「少女」
  > No.127 「告白」


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