『コモリと子守り(誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート)』 歌野晶午 > 「このミス」完全読破 No.636
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.636
『コモリと子守り』 歌野晶午
* 文庫化の際に『誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート』に改題
「このミス」2014年版 : 18位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 8位
読始:2013.3.13~ 読終:2013.3.15
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年12月>
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No.92「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」、No.614「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」に続く、“舞田ひとみシリーズ”の3作目です。
前2作は、タイトルにもあるように舞田ひとみがそれぞれ11歳・14歳における物語でしたが、本作は前作から3年後の、17歳になったひとみの物語となっています。
そして、前2作は連作集でしたが、本作はシリーズ初の長編作品で、シリーズ初の単行本作品でもあります(前2作はいずれもノベルスで発売)。
なお、前2作が連作集という形式だったことや、作中で語られる年が異なることからも予測出来るように、作品ごとに中心となる出来事や展開は違っているので、いきなり本作から読んでもついていくことが出来ない、ということはないのでは。
とはいえ、前2作のネタバレといえそうな箇所がありますし、なによりこのシりーズは主人公であるひとみやその周囲の人々の成長&変化具合を楽しむのがメインともいえるので、やはり1作目から順番に読んでいくことをお薦めします。
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高校を中退し引きこもり状態となっている馬場由宇は、向かいのアパートに住む幼児が虐待を受けているかもしれないことを察知。
そして暑さ真っ盛りのある日、パチンコ屋の駐車場の車内にその幼児が放置されているのを発見し、そこから助け出して自宅へ連れ帰ったところ、予期せぬピンチに陥ってしまったため、かつてのクラスメイトである舞田ひとみを頼ることに.....。
このシリーズは、もちろん前2作のタイトルにもなっている舞田ひとみが中心となっているものの、語り手は作品ごとにひとみではない人物が担当していて、本作では1作目にもちょっとだけ登場した馬場由宇が語り手となっています。
17歳に成長したひとみと引きこもり少年・由宇の楽しい掛け合いや、刑事である叔父とのやり取りなどにより、このシリーズの特徴でもあるユルくほのぼのとした雰囲気が作られていますし、ひとみを取り巻く環境の変化やシリーズを通して動いていく展開など、シリーズ作品ならではの楽しみどころも組み込まれています。
その一方で、由宇による幼児連れ去り騒動を発端として、大掛かりな捜査が伴う誘拐事件へと発展していくのですが、これがただの誘拐事件ではなく、複雑な構図と二転三転する展開が絡み合っていくので、誘拐ミステリとしてもなかなかの読み応えがありました。
まあ、作者自身が“ゆるミス”と称しているシリーズで、キャラクター重視といった面もありますし、犯人像などに納得できない人も多くいそうなので、ミステリとしてガッツリした読み応えがあるわけではないものの、ひとみのキャラクターやほのぼのしていながら苦味の効いた展開など、このシリーズならではの魅力が長編の中に詰め込まれていたので、前2作の愛読者であれば満足なほどに楽しむことが出来るのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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