『強欲な羊』 美輪和音 > 「このミス」完全読破 No.633
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.633
『強欲な羊』 美輪和音
「このミス」2014年版 : 116位
受賞(候補) : 「ミステリーズ! 新人賞」
受賞作 『強欲な羊』 収録
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.3.2~ 読終:2013.3.6
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年11月>
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美輪和音は、短編「強欲な羊」で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞。
そして受賞作を表題とした本作にてデビューとなりました。
とはいえ、全くの新人というわけでもありませんでして、“大良美波子”名義で、映画『着信アリ』やテレビドラマ『フードファイト』などの脚本家としてすでに活躍している人物なのです。
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というわけで本作は、「強欲な羊」「背徳の羊」「眠れぬ夜の羊」「ストックホルムの羊」「生贄の羊」の5編からなる連作集です。
連作といっても、登場人物や舞台が同じというわけではなく、羊の皮をかぶった(本性を隠した/本性が隠れた)女性を中心としている話という共通点で結ばれているのです。
帯に“イヤミス”と書かれているように、やはりいかにもイヤミス的ともいうべきキャラクターやシチュエーションが出てくるのですが、例えばイヤミスの女王とも呼ばれる真梨幸子作品のように、読んでいて心の底から嫌~な気分になる、というわけではありませんでした(個人差はあると思いますが)。
確かに嫌な目にあっている人物とその原因となっている人物が出てくるものの、その関係性からくるドロドロネチネチとした人間ドラマが描かれているのではなく、その関係性によって次第に狂気や恐怖が刺激的に表に現れてくるのです。
そのため、嫌な気分になる要素よりも、狂気や恐怖などにゾクリとさせられる要素の方が上回っているようだったので、イヤミスというよりもサイコホラー的な読み応えの方が強かったですね。
そしてミステリ的に見てみますと、ミステリとしての本線はミステリ小説を読み慣れている人ならば結構早い段階で展開を読めてしまうと思うのですが、それでも真相が明らかにされると同時に狂気・恐怖が一気に浮かび上がってくるので、サイコホラーとしての魅力を演出するためにミステリ的仕掛けが効果的に使われている、といった感じでしょうか。
特に表題作は、ミステリとしての本線に気を取られていたら実はその裏にもう一つの線が用意されていて、それが明らかになることで物語の全貌が浮かび上がり、それにより狂気と恐怖がゾワワッと襲いかかってきますし、謎の女性が自身の過去について語っていく中で恐怖が増幅していく感じが岩井志麻子の名作ホラー短編「ぼっけえ、きょうてえ」を思わせるほどだったので、さすが受賞作だと納得してしまうほどの面白さでした。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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