『墓頭』 真藤順丈 > 「このミス」完全読破 No.632
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.632
『墓頭』 真藤順丈
「このミス」2014年版 : 33位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.2.26~ 読終:2013.3.1
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年12月>
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真藤順丈は、「地図男」でダ・ヴィンチ文学賞・大賞、「庵堂三兄弟の聖職」で日本ホラー小説大賞・大賞、「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で電撃小説大賞・銀賞、「RANK」でポプラ社小説大賞・特別賞と、全て異なる作品で新人賞を4つも受賞するという異例のデビューを果たしました。
ただ、(4つの新人賞受賞作を含む)これまで発表した作品は、まだ数が少ないとはいえ、年末恒例のエンタメ系ランキングに入ったり新人賞以外の文学賞を受賞するなどの結果を残していないので、華々しいデビューを飾ったことを考えれば、少々物足りなくも思えてしまいます。
しかし、ここまでの集大成ともいうべき内容の本作は、ランキングや文学賞など具体的な結果が伴うのかはわかりませんが、作者の代表作とされるほどの評価を受けるのは間違いないのではと感じられるくらいの力作でした。
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ある売れない作家が、失踪した父の行方を捜している中で、“生まれながらに彼は墓だった”と言われる祖父の存在を知ることに。
この謎めいた存在である祖父が父の失踪に関係していると直感した作家は、捜索を依頼していた新実探偵と共に、祖父のことを知る人物に会うため亜大陸の南東の島まで向かったところ、そこで“頭に死体が埋まったこぶを持つ男”の数奇な人生を聞くことになって.....。
というわけで本作は、不幸と絶望のどん底から生まれた“ボズ(墓頭)”と呼ばれる男の一代記が描かれていきます。
頭に死体が埋まり、そのこぶにより顔全体がグロテスクに引きつられているため、その顔を直視出来る人間はいないという恐ろしい容姿なのですが、それが原因なのかボズに関わった人物が次々と死んでいき、そんな苛烈な少年期を送ったせいもあって、性格も行動も破滅的で暴力的なモンスター的人間へと成長していくのです。
さらに、福祉施設で出会うことになる少年少女たちが、これまたボズに負けず劣らずの異能で特殊な人物たちで、彼らと出会ったことでボズのその後の人生はさらに壮大で猟奇的で破壊的になっていくのですね。
とにかくボズやボズに関わってくる人間たちのキャラクターがかなり強烈で、そこにさらに輪をかけて強烈なエピソードの数々が次々に襲ってくるので、作品全体から解き放たれてくるまがまがしいほどの迫力には、読んでいて圧倒され続けてしまったほどです。
グロテスクホラーにバイオレンスアクションにアジアンノワール、さらにミステリにファンタジーに哲学的詭弁にと、さまざまなド派手で刺激的な要素によって、帯にも書かれているように“過剰”なほどに演出された一代記物語となっているので、好みは分かれそうではありますが、ハマる人ならのめり込むほどの面白さを味わえるのではないでしょうか。
個人的には、平山夢明や樋口毅宏作品なんかと比べるとグロさや狂気の描写などに優等生的なはじけきらなさを感じたり、周りの面々が強烈過ぎたせいか思ったほどボズのキャラクターから圧倒的存在感を得られなかったので、そこら辺にもう少しブチ切れるほどの爆発力があれば、さらなる大傑作になっていたのではないかな~と思いましたね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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