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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.626
『欠落』 今野敏
「このミス」2014年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2013.2.6~ 読終:2013.2.7
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年1月>
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No.232「同期」に続く、“同期シリーズ”の2作目です。
今野敏といえば、これまでに多くの警察小説、そして警察小説シリーズを発表しているわけですが、「このミス」的に見てみると、2012年までに発売した長編4作中3作がランクインし、ランクインを逃した1作もあと一歩の23位となるほどに票を集めた“No.57「隠蔽捜査」シリーズ”の一人勝ち状態となっています。
ただそんな中で、“隠蔽捜査シリーズ”以外の警察小説で唯一「このミス」にランクインしている作品というのが前作「同期」でして、その待望の続編となるのが本作というわけなのです。
なお、本作を先に読んでしまうと前作のネタバレとなってしまうので、前作から先に読むことをお薦めします。
ちなみに、今年(2013年)は今野敏のデビュー35周年ということで、出版社の垣根を超えた企画として、1月に講談社から本作、2月に角川春樹事務所から“安積班シリーズ”最新作「晩夏」、5月に集英社から“スクープシリーズ”最新作「クローズアップ」、6月に新潮社から“隠蔽捜査シリーズ”最新作No.661「宰領 隠蔽捜査5」と、上半期に新作が続々と発売される予定で、4社共同で小冊子が限定作成されたりもしています。
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警視庁捜査一課の刑事・宇田川は、以前パートナーを務めた先輩刑事・土岐が警視庁特命捜査対策室に配属され、さらには同期の女性警官・大石陽子が警視庁捜査第一課の特殊捜査係に配属と、二人とも身近な部署にやって来たことで、嬉しい気持ちを抱えながら自身の仕事に取り組む事に。
しかし、大石が初任務となった人質立てこもり事件でいきなり人質の身代わりという重要な役割を担うことになり、しかも現場から逃亡した犯人に人質として拉致されてしまい.....。
というわけで、前作では主人公の同期である蘇我を巡る事件・騒動が描かれていたのに対し、今回は蘇我とは別の同期である女性刑事・大石が大きく関わってきます。
この大石が巻きこまれる立てこもり事件と並行して、主人公たちが担当することになる身元がなかなか判明しない殺人事件も起こり、主人公は大石の身を案じながらも殺人事件の捜査を行っていくのです。
前作では、主人公の向こう見ずなほどの熱血刑事ぶり、それを周りで優しく時に厳しく支える先輩・上司たちという関係性が大きな魅力となっていましたが、その部分は本作でも変わらずの面白さでして、そこに新たに主人公のパートナーとなるベテランだけどやる気の感じられない刑事とのやり取りが加わることで、さらに熱く感動的なドラマ性が生み出されていましたね。
そして二つの事件を中心としたストーリーも、目の前にあるいくつもの謎に迫っていくことで手の届かぬ所にあった真相に徐々に近づいていく展開が、軽快でテンポよく、しかも迫力と高揚感たっぷりに描かれていき、そこに同期・先輩・上司・部下・パートナーなどの人間関係が魅力的に絡んでいくので、さすが今野敏だと唸らされるエンタメ的警察小説を味わえると思います。
まあ、大興奮の展開となった前作のクライマックスほどの盛り上がりはさすがにありませんでしたし、警察内でのギスギスした軋轢や対抗心など警察組織小説的な部分には力を入れて書いていないし、真相が明らかになる場面もそれまでの盛り上がりに比べれば結構あっさりとしているので、そういった点に不満を覚える人もいるかもしれません。
ただ、難しいことを考えずに楽しむことの出来るエンタメ性や、それでいて事件の謎やその真相に至る道筋など凝った作りとなっているミステリ的演出など、ワクワクドキドキさせられる魅力が詰まっている警察小説なので、あまり警察小説に手が伸びにくいという人にこそお薦めのシリーズといえるかもしれませんね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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