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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.618
『残り全部バケーション』 伊坂幸太郎
「このミス」2014年版 : 48位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 40位
読始:2013.1.12~ 読終:2013.1.13
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年12月>
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2012年の伊坂幸太郎は、3月にNo.528「P K」、5月にNo.612「夜の国のクーパー」、そして12月に本作と、1年に3作品も発売されたということで、前年(2011年)には新作の発売がなかったことを考えれば、精力的に作品を発表した年だったといえるでしょう。
そして、ここ最近の伊坂作品の記事では毎度のように書いていることですが、2007年に発表したNo.125「ゴールデンスランバー」を境に、作風が大きく変わっています。
それは、読者に向けて作品を書いていた(1期)のが、自分が面白いと思うものを書くようになった(2期)という、作者自身の心持ちの変化なのだそうですが、実際に読み比べてみれば、1期はわかりやすい面白さが込められた作品揃いだったのが、2期は難解だったり異色な作品が増えていることが実感できると思います。
それで2012年に発売されたうちの「PK」と「夜の国のクーパー」は、まさしく2期に該当するような、少々難解だったり伊坂作品としてはかなり異色な内容でした。
しかし本作は、1期の作品群と共通する魅力を携えた、“これぞ(昔ながらの)伊坂作品だ!”といった内容なのですね。
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というわけで本作は、「残り全部バケーション」「タキオン作戦」「検問」「小さな兵隊」「飛べても8分」の5作から成る連作集です。
主人公らしい主人公はいませんが、裏稼業の使いっパシリのような仕事(車同士の当たり屋など)をしている二人組を中心としていて、その仕事の最中などに起きた出来事が、内容や時系列がバラバラな状態で語られていきます。
なので一応犯罪が描かれていくものの、二人組のキャラクターもその他の面々もかなり個性的ながらどこかほのぼのといった雰囲気が漂っていますし、その会話ややり取りはユーモアが存分に含まれた軽快さがあります。
それに、各話のストーリーはもちろん、その中に溢れているエピソードやちょっとした小ネタなども、心躍るような面白さを味わえますし、その一方で伊坂作品らしい小粋なセリフや人生訓などにしみじみさせられたりもするのです。
そしてミステリ的に見た場合、結末の意外性に驚くというよりは、作中に散りばめられた伏線の繋がり具合を楽しむ感じでしょうか。
というわけで、1期の頃の伊坂作品の魅力がストレートに惜しみなく詰め込まれた作品なので、従来の伊坂ファンや伊坂作品未体験の人にはもちろんですが、ここ最近の作品に満足できずにモヤモヤしていた伊坂ファンの人に特にお薦めしたいですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.627 「死神の精度」
> No.618 「残り全部バケーション」
> No.612 「夜の国のクーパー」
> No.528 「PK」
> No.384 「マリアビートル」
> No.381 「グラスホッパー」
> No.367 「バイバイ、ブラックバード」
> No.312 「蝦蟇倉市事件 1」
> No.310 「オー! ファーザー」
> No.289 「SOSの猿」
> No.125 「ゴールデンスランバー」
> No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
> No.021 「重力ピエロ」
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