『リカーシブル』 米澤穂信 > 「このミス」完全読破 No.622
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.622
『リカーシブル』 米澤穂信
「このミス」2014年版 : 7位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 10位
「ミステリが読みたい!」 15位
「週刊文春ミステリーベスト10」 18位
読始:2013.1.25~ 読終:2013.1.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2013年1月>
![]() | リカーシブル (新潮文庫) 米澤 穂信 新潮社 2015-06-26 売り上げランキング : 629 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米澤穂信は、2011年に続いて昨年(2012年)も新作が発表されませんでした。
とはいえ、昨年は“古典部シリーズ”の「氷菓」がテレビアニメ化され、相乗効果で原作もヒットとなったので、新作が出なかったにしてはファン層の拡大に成功した一年だったといえるのかもしれませんね。
そして本作は、2010年11月に発売されたNo.402「折れた竜骨」以来約2年ぶりとなる、待望の新作なのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
母の故郷である地方の町に、理由あって母・弟と共に引越してきた、中学生のハルカ。
新たな生活が始まる中、弟のサトルが予知めいた言動を繰り返すようになり、さらにそんな弟の言動に関係するかのような“タマナヒメ”というこの地に伝わる民話の存在を知って.....。
主人公の置かれた幸せとはいえない境遇などから、(初版の)帯にも“ボトルネックの感動ふたたび”と書かれているように、重く切なく痛ましい青春ミステリNo.44「ボトルネック」を思わすようなどんよりとした雰囲気が作中に淀んでいます。
ただ読み進めていけば、青春物語というよりは、地方都市を舞台とした伝奇ミステリの方に軸を移していくかのように感じられるのですね。
“タマナヒメ”という現在まで伝承されている儀式、奇妙な行動を見せる級友や町の人々、そして過去と関係するかのように起きていく事件などの奇妙な出来事を、この町の“よそ者”である主人公の目を通して見ることで、閉鎖された地方都市から漂ってくる不気味さにゾクリとさせられるので、その読み応えはホラー小説のようでもありました。
そして、この町の裏に秘められた謎に主人公が迫っていくという、ミステリ的な展開や仕掛けなどももちろんあって、そんな町の謎を解き明かすと共に自身の不遇な状況をも乗り越えようと頑張る主人公の力強い姿も魅力的でした。
まあ、どちらかといえば地味めな作品で、物語的にもミステリ的にもガッツリした読み応えのあるタイプではないですし、「ボトルネック」と同じような魅力や感動的要素を期待してしまうと手応えが感じられないかもしれません。
それでも、米澤作品らしいブラックさやビターさが刺激的ですし、青春伝奇ミステリという新境地とも言える面白さもあったので、新作が出るのを2年待っていた人ならば(期待値を上げ過ぎなければ)満足するほどに楽しめるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “米澤穂信” 関連記事 】
> No.1123 「巴里マカロンの謎」
> No.1099 「Iの悲劇」(後日更新予定)
> No.1050 「本と鍵の季節」
> No.0961 「犬はどこだ」(後日更新予定)
> No.0942 「いまさら翼といわれても」
> No.0872 「真実の10メートル手前」
> No.0828 「王とサーカス」
> No.0817 「さよなら妖精」
> No.0777 「ミステリマガジン700 【国内篇】」
> No.0748 「満願」
> No.0622 「リカーシブル」
> No.0402 「折れた竜骨」
> No.0366 「ふたりの距離の概算」
> No.0365 「遠まわりする雛」
> No.0315 「蝦蟇倉市事件2(街角で謎が待っている)」
> No.0250 「秋期限定栗きんとん事件」
> No.0227 「追想五断章」
> No.0140 「儚い羊たちの祝宴」
> No.0076 「インシテミル」
> No.0044 「ボトルネック」
> No.0040 「夏期限定トロピカルパフェ事件」
> No.0039 「春期限定いちごタルト事件」
「七つの会議」池井戸潤 <<< PREV/NEXT >>> 「今出川ルヴォワール」円居挽
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 【シルクロードS&根岸S(2013年)>予想&結果】 | トップページ | 「バナナマンのバナナムーンGOLD Podcast」 おすすめ回リスト(2011-2012年) »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)