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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.612
『夜の国のクーパー』 伊坂幸太郎
「このミス」2013年版 : 19位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 9位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(小説ランキング) 11位
「週刊文春ミステリーベスト10」 14位
読始:2012.12.13~ 読終:2012.12.15
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2012年5月>
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伊坂幸太郎は、2007年に発表したNo.125「ゴールデンスランバー」を境に、作風が大きく変わっています。
それは、読者に向けて作品を書いていたのが、自分が面白いと思うものを書くようになったという、作者自身の心持ちの変化なのだそうですが、実際に読み比べてみれば、以前はわかりやすい面白さが込められた作品揃いだったのが、「ゴールデンスランバー」以後は難解だったり異色な作品が増えていることが実感できるのではないでしょうか。
それで本作ですが、そんな後者に当たる作品群の中でも飛び抜けて異色作といえるかもしれませんね。
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舞台となるのはある架空の国で、隣国との長きに渡る戦争に敗れため、この国を占領しようと隣国の先発隊がやって来た、という状況。
そんな占領下に置かれた国について、現実世界から漂流してきた男に向けて猫が語っていく物語です。
元々伊坂作品は現代的な物語をおとぎ話的描き方で演出していたのですが、本作は架空の世界が舞台ですし、話す猫や動く杉などの奇妙な要素、幻想的なエピソードの数々など、まさしくおとぎ話といった雰囲気の物語が繰り広げられていくのですね。
ただそんな中にも、敗者側から見た戦争をテーマとしていたり、現代社会に対しての皮肉めいた風刺が効いていたりもしますし、それでいてワクワクドキドキするような物語展開に、仕組まれていた伏線がクライマックスで浮かび上がってくる遊び心など、エンタメ的な魅力も込められていたので、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための―」というテーマの元に刊行されるレーベル“ミステリーランド”の作品を思わすような読み応えがありました。
というわけで、かつての伊坂作品のようなわかりやすい面白さを期待してしまうと物足りなさを感じてしまうかもしれないので、伊坂作品好きの中でも評価はかなり分かれていそうですが、ジャンル分けが難しい内容でありながら読んでみれば「このミス」にランクインしたのも頷けるほどの面白さがあったので、新たな伊坂作品の魅力を味わうつもりで手にしてみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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