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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.609
『葬式組曲』 天祢涼
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
(「日本推理作家協会賞〈短編部門〉」
候補作 『父の葬式』 収録)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 7位
読始:2012.12.3~ 読終:2012.12.4
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年1月>
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天祢涼は、メフィスト賞受賞作である「キョウカンカク」で2010年にデビューすると、同年に早くもデビュー2作目でありシリーズ2作目の「闇ツキチルドレン」を発売。
翌2011年には「空想探偵と密室メイカー」、2012年に本作、さらに今年(2013年)の年明け早々に発売予定のNo.791「セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎」と、デビュー以来着実に作品を発表しています。
デビューから3作は、特殊な能力や意外性のあるトリックといったメフィスト賞らしい作風だったものの、本作は初めて講談社ノベルス以外からの発売となったこともあってか、これまでとは大きな作風の変化がみられたのですね。
そしてその結果として、「本格ミステリ・ベスト10」でベスト10入り(7位)という評価を受けたわけですが、自分は前々から気になってはいたけどなかなか手を出すきっかけを掴めずにいたので、この“「本ミス」ベスト10入り”という結果を知るやいなや即行で読むことにしました。
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本作の作品世界は、無駄な出費や宗教的儀式に批判的な風潮が高まったことで、“葬式”が廃れて直葬(すぐに火葬)が主流となった現代日本。
そんなパラレルワールド的な日本において、唯一葬式の風習を残すS県の、とある葬儀社を舞台とした連作集です。
「父の葬式」「祖母の葬式」「息子の葬式」「妻の葬式」というタイトルからもわかるように、章ごとにそれぞれの葬式が行われ、そこで起きた謎や騒動を葬儀社の従業員たちが解き明かしていくのですが、その謎や推理は葬式ならではのものですし、バリエーションに富んでいるのでなかなか魅力的です。
それに、真相が明らかになることで表に湧きあがって来る人間ドラマは、やはり“人の死”が関わって来ることもあって心に訴えてくるものがありますし、“葬式が否定される世界”における葬式が描かれていくことで、“葬式”に対して色々と考えさせられたりもしました。
そんな“日常の謎ミステリ”の葬儀社版としての読み応えもかなりのものなのですが、最後の「葬儀屋の葬式」に至ると、連作ならではの仕掛けが炸裂した予想外の展開に驚かされてしまったりもするのですね。
というわけで、葬儀社物語としてもミステリ作品としても存分に楽しませてもらったのですが、「このミス」では残念ながら1票も入らなかったため、「このミス」のランキング発表後だとまず読むことはなかっただろうから、“「本ミス」発表後~「このミス」発表前”というわずか数日の期間に読んでおいて本当に良かったな~と心から思ってしまいました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “天祢涼”関連記事 】
> No.791 「セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎」
> No.609 「葬式組曲」
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