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2012年12月30日 (日)

『ロートレック荘事件』 筒井康隆 > 「このミス」完全読破 No.608

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.608

 『ロートレック荘事件』 筒井康隆

   「このミス」1991年版 : 11位

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 18位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 7位

   読始:2012.11.30~ 読終:2012.12.2

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 文庫本 <1995年1月>

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筒井 康隆

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 「このミス」の創刊(1988年)から間もない時期には、今から思うと意外な作家がランクインしていたりするのですが、本作の作者もそんな一人ではないでしょうか。

 筒井康隆は、小松左京・星新一と並ぶ日本を代表するSF作家でして、ナンセンス・ブラックユーモアが込められた作風や実験的な作品で人気を集める一方、差別表現の自主規制問題に正面から向き合いその結果断筆宣言を行ったり、俳優としても活躍するなど、作品以外の面でも話題豊富な大御所作家です。

 そして本職であるSF以外にも、純文学など様々なジャンルの作品も手掛けていまして、ミステリ作品としては後に深田恭子主演でテレビドラマ化された「富豪刑事」がありますが、初めて本格的な“本格ミステリ”に挑戦したのが本作なのですね。

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 舞台となるのは郊外にある別荘“ロートレック荘”でして、若くして成功した画伯とその友人、そして画伯に恋心を抱く令嬢3人とその親たちが集まり、バカンスを楽しんでいたところ、連続殺人事件が巻き起こります。

 そんな“古き良き本格ミステリの定番”といった感じの舞台設定やストーリー展開で形作られた物語は、最後で驚きの真相が明らかにされるのですね。

 その真相というのがかなり衝撃的で、それまでの世界観が覆されてしまうほどの仕掛けとなっているのですが、その評価は賛否両論に分かれているそうです。

 “否”の方の意見としては、“トリックがアンフェア-だ”というのが多いようで、確かに読んでみるとそういった感想が出てくるのも頷けますし、今読めば(良い意味での)バカミスと評されそうなトリックなので、賛否両論となるのには納得です。

 とはいえ、物語全体に張り巡らされた仕掛けや読者を騙すトリックのために作られた物語は、“作者 vs 読者”といった面白さを存分に楽しめますし、終盤まで真相について勘付いたりなどしなければ単純に驚くことができますからね。

 それに、内容的には典型的な本格ミステリといえども筒井作品らしさがそこかしこから感じられますし、何より文庫本で200ページほどという手頃な分量なので、気軽に味わうことの出来るどんでん返し系本格ミステリを読みたい時などにおすすめの作品です。


> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆

 本格ミステリ度  : ★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
 ビックリ驚愕度  : ★★★★    おどろおどろ度 : ★★
 熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力度 : ★★★
 恋愛ラブラブ度 : ★★★★     人間味ドラマ度 : ★★
 下ネタエッチ度 : ★★       感涙ウルウル度 : ★★
 衝撃バカミス度 : ★★★★    気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “筒井康隆”関連記事 】

  > No.778 「名探偵登場!」
  > No.608 「ロートレック荘事件」


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