『灰色の虹』 貫井徳郎 > 「このミス」完全読破 No.605
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.605
『灰色の虹』 貫井徳郎
「このミス」2011年版 : 20位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 12位
読始:2012.11.12~ 読終:2012.11.14
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 :単行本 <2010年10月>
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貫井徳郎は、デビュー作のNo.99「慟哭」を始めとして、社会性を込めたテーマとミステリ的トリックとを融合させた作品を中心に発表して人気を博しています。
そして本作は、そんな著者の十八番とも言うべき社会派ミステリ作品に仕上がっているのですね。
今回のテーマとなるのは、“冤罪”と“復讐”。
ちなみに、この記事を書いている2012年には、椎名桔平主役でテレビドラマ化されています。
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江木雅史は、頬に生まれつきの大きな痣があることや元々の内気な性格から、自分をあまり表に出さずにつつましく生きて来たものの、会社の同僚女性と仲良くなり付き合い始めたことをきっかけにして、それまで生きてきて初めてとも言える幸せな日々を過ごすことに。
しかしそんな矢先に会社の上司が殺害されて、身に覚えなどないのに警察から容疑を掛けられたことから、雅史の人生は大きく狂い始めていくのです.....。
そんな主人公が体験していく冤罪事件の話が綴られる一方で、この事件から数年後の物語も並行して語られていくのですが、その内容というのが、主人公の事件に関わった刑事・検事・弁護士・判事の話なのです。
つまりは冤罪を生み出した面々のその後と、事件当時の状況・心境が描かれていくわけですが、それぞれに問題はあるとはいえ、わざと冤罪を作りだそうと考えたりするほどの極悪人はいませんし、あくまで自分なりのやり方で職務を果たそうとしている人たちであるのに、これだけの人間が関わりながらも明らかな冤罪が生まれてしまうという過程が真に迫っていましたし、自分ももしかしたらこんな冤罪被害を受ける可能性はあるかも.....といった恐怖も感じられました。
そしてこれら人物に対する復讐劇が行われていき、それに気付いた刑事による執念溢れる捜査も描かれていくので、捜査サスペンスとしての読み応えもかなりのものでしたね。
さらにクライマックスでは驚きの仕掛けもあったりと最後まで楽しませてくれるものの、その部分に関しては勘の良い人なら途中で気付きやすいのではないかと思うので、そこはあまり期待を高めたり意識しすぎたりせずに、この冤罪と復讐とが絡み合った重く切ない物語を堪能してみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.767 「私に似た人」
> No.666 「ドミノ倒し」
> No.605 「灰色の虹」
> No.569 「微笑む人」
> No.556 「新月譚」
> No.337 「明日の空」
> No.237 「乱反射」
> No.099 「慟哭」
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