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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.604
『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』 山口雅也
「このミス」2013年版 : 13位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「ミステリが読みたい!」 5位
「本格ミステリ・ベスト10」 17位
「週刊文春ミステリーベスト10」 18位
読始:2012.11.9~ 読終:2012.11.9
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 :単行本 <2012年8月>
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山口雅也の新作は、リドル・ストーリーの短編集です。
このリドル・ストーリーというのは、物語の結末や提示された謎の真相をあえて書かずに読者の想像にまかせる小説のことです。
最近では、「このミス」でも2010年版4位にランクインした米澤穂信のNo.227「追想五断章」に、このリドル・ストーリーが使われていますね。
とはいえ、「追想五断章」は作中作がリドル・ストーリーで、その結末や謎を主人公が推理することで物語が広がっていくという、リドル・ストーリーを効果的に利用した作品だったのに対し、本作の場合はリドル・ストーリーそのものを描いた作品集という違いがあります。
なお、この表紙には「異色作家短篇集」(旧版)のパロディになっているという遊び心が。
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というわけで本作は、『「異版 女か虎か」アブラハム・ネイサン/山口雅也訳』 『「群れ」山口雅也』 『「見知らぬカード」山口雅也』 『「謎の連続殺人鬼リドル」アブラハム・ネイサン・ジュニア/山口雅也訳』 『「私か分身(ドッペルゲンガー)か」山口雅也』の5つの短編を収録した作品集です。
“山口雅也訳”となっている作品が2編ありますが、これは実際に外国語の原作を訳したものではなくて、No.489「狩場最悪の航海記」と似たような遊び心なのでしょう、たぶん。
やはりリドル・ストーリーの作品集ということだけあって、普通だったら中途半端とも思えてしまうところで終わってしまう作品揃いなので、そういった作品集だと知らずに読んだ人なら呆気にとられてしまうだろうし、知っていたとしても読後に後味悪いモヤモヤ感が残ってしまう可能性はありそうです。
しかし、特にリドル・ストーリーとして世界的に有名な「女か虎か?」(F・R・ストックトン)のリミックス版ともいえる「異版 女か虎か」などは、結末がわからないまま終わることでドキドキ感が刺激的に演出されていますし、読後に自分なりの結末や謎の真相を推理したり想像したりすることで、小説としての作品の枠を超えた楽しみ方が出来ますからね。
なので、いつもの山口雅也作品と同様に、誰もが楽しめる作品というよりは読者を限定する作品なのですが、話自体は難しいところなどないので、リドル・ストーリーという珍しいタイプの小説を気軽に味わうのに最適な作品集といえるのではないでしょうか。
なお、「私か分身(ドッペルゲンガー)か」はNo.109「モンスターズ」に収録されていた「もう一人の私がもう一人」を改作・改題したもので、「もう一人の~」の方には「私か分身か」の続きも書かれているので、「私か分身か」を読んで結末にモヤモヤした場合は「モンスターズ」収録版の方も読んでみては(余計モヤモヤしてしまうかもしれませんが)。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.489 「狩場最悪の航海記」
> No.128 「キッド・ピストルズの最低の帰還」
> No.109 「モンスターズ」
> No.080 「キッド・ピストルズの冒涜」
> No.051 「生ける屍の死」
> No.028 「ミステリーズ」
> No.015 「キッド・ピストルズの妄想」
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