『インサート・コイン(ズ)』 詠坂雄二 > 「このミス」完全読破 No.595
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.595
『インサート・コイン(ズ)』 詠坂雄二
「このミス」2013年版 : 85位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 25位
読始:2012.10.24~ 読終:2012.10.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 :単行本 <2012年2月>
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詠坂雄二は、実録怪談的な物語や遊び心に溢れたトリックなどマニア受けする作品を発表してきましたが、本作のテーマとなるのはこれまでの作品とはガラリと変わった感のある“テレビゲーム&アーケードゲーム”。
しかも扱われるゲームというのが、『スーパーマリオブラザーズ』 『プヨプヨ』 『ストリートファイターII』 “シューティングゲーム(『スペースインベーダー』等)” 『ドラゴンクエストI・II・III』ということで、80・90年代に少年期・青春期を過ごしたゲーム好きならば誰もがプレイしたであろう、そうでない人でもほとんどの人が名前だけなら聞いたことがあるであろう、超ビッグタイトル勢揃いといった感じなのです。
とはいえ、やはり詠坂作品なので、単純な“メジャーゲームを絡めたミステリ作品”とはなっていませんでしたけどね。
ちなみに、これまでの詠坂作品はどこかで世界が繋がっているのが特徴としてあるのですが、本作にはNo.403「電氣人閒の虞」の主人公が再登場したりこの作品の内容にちょっとだけ触れたりもしますし、No.372「ドゥルシネーアの休日」のキャラクターも意外な形で再登場するので、本作の前でも後でもいいので読んでみると面白さがより増すのではないでしょうか。
なお、これは章扉にも書いてありますが、作中には『ドラゴンクエストI・II・III』についての重大なネタバレが含まれているので、読む際にはご注意を。
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というわけで本作は、「穴へはキノコをおいかけて」「残響ばよえ~ん」「俺より強いヤツ」「インサート・コイン(ズ)」「そしてまわりこまれなかった」の5編を収録した連作集です。
主人公は、ゲーム誌『Press Start』を中心にライターとして仕事をしている柵馬朋康でして、誌面で特集される懐かしのゲームに関する謎と日常の謎とが絡んだ物語が進められていきます。
そして、これらの謎を鮮やかに解く役割を担うのが、柵馬がこの世界に入るきっかけとなった偉大なる先輩であり師匠的存在の流川映でして、この人物が語るメジャーゲームの創作秘話や論評がなかなか興味深く、しかもそれが“日常の謎”として取り扱われたりもするので、取り上げられるゲームをプレイしてきた人ならばこれだけでもかなり楽しめると思います。
ただそれだけでは単なる“ゲームを題材としたライトミステリ”でしかないのですが、本作の場合は、そんなゲームの謎・逸話が柵馬自身の物語と絡み合うことで、絶妙な仕掛けが施されたミステリ作品としても完成されていますし、それによって柵馬自身の物語にも深みや味わいが生み出されているのです。
なので、取り上げられているゲームをプレイしたことのない人が読んでも、ミステリ作品として問題なく楽しむことが出来るでしょう。
それでも、取り上げられているゲームはその世代の人間にとっては青春時代の大きな一部とも言えるほどに重要な存在となっている作品ばかりで、そんな強い思い入れを元に作者が魂込めて作り上げた作品なので、やはりこれらゲームをリアルタイムに楽しんできた人でないと、本作の本当の意味での面白さは伝わらないのかもしれませんね(ちなみに自分はこれらゲームのリアルタイム直撃世代です)。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “詠坂雄二” 関連記事 】
> No.0770 「ナウ・ローディング」
> No.0728 「亡霊ふたり」
> No.0595 「インサート・コイン(ズ)」
> No.0403 「電氣人閒の虞」
> No.0372 「ドゥルシネーアの休日」
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