『夜明け遠き街よ』 高城高 > 「このミス」完全読破 No.591
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.591
『夜明け遠き街よ』 高城高
「このミス」2013年版 : 25位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.10.5~ 読終:2012.10.14
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年8月>
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高城高は、1950~70年代に作家として活躍していたものの、その後は作品の発表が途絶えてしまったので、“幻のハードボイルド作家”とも呼ばれていました。
しかし、2006年に作品集「X橋付近」が発売されたのが契機となったのか、2009年に37年ぶりとなる新作No.499「函館水上警察」を発表し見事に復活。
その後も、翌年には続編である「ウラジオストクから来た女 函館水上警察」、そしてその2年後に本作と、コンスタントに新作が発表されているのは嬉しい限りですね。
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というわけで本作は、「引き屋の街角」「預金残高一億一千円也」「フィリピン・パブの女」「百万円の花籠」「マンション・コレクター」「赤ヘネと札束の日々」「夜明け遠き街」、そして「あとがき」を収録した、連作集です。
舞台となるのは80年代のバブル期における札幌最大の繁華街・ススキノで、主人公はキャバレーの黒服・黒頭悠介。
この主人公は、ススキノで生まれ育ち、黒服ながらホステスの敏腕スカウトとしても名が知れていて、そんな顔の広さや頼りがいのある人物であることから、自身が働く店だけでなく近隣のキャバレー・クラブの関係者や幼馴染みなどからも、トラブルの相談をしょっちゅう受けているのです。
舞台が繁華街だけに、トラブルというのはキナ臭かったり危険だったりするものなのですが、主人公は常に冷静ながらも鋭い推理力と俊敏な行動力と度胸満点な交渉力でもって見事にトラブルを解決してしまうので、ハードボイルド的な魅力に溢れた渋くカッコいい男なのですね。
そんな主人公を中心とした群像劇としてもかなりの面白さであるものの、本作の一番の魅力といえば、やはりバブル期におけるススキノという街の描写でして、主人公の目を通して映されるこの時代、この場所だからこそ生まれ得る空気感は、それを体験したことのない自分でさえもリアルに感じてしまうほどの臨場感がありました。
まあ、主人公が素人探偵的な役割とはいえミステリ度は高くないですし、硬派なハードボイルドといった作風なので、これまでの高城作品同様に一般受けはしないと思いますが、渋く男気のあるハードボイルドな世界とバブル期ススキノの世界を存分に味わうことが出来るので、こういったタイプの作品が好きな人ならばどっぷりと作品世界に浸かってしまうだろうし、必ずや続編が楽しみになるはずです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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