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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.590
『泡坂妻夫引退公演』 泡坂妻夫
「このミス」2013年版 : 20位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.10.6 ~ 読終:2012.10.13
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本(函入り二分冊) <2012年8月>
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泡坂妻夫は、1976年にデビューしたベテラン作家でしたが、2009年に急性大動脈解離のため逝去されました。
これまで発表されてきた作品は「このミス」でも評価されていて、「このミス」創刊(1988年)からの8年で8作もランクインし、No.29「奇術探偵曾我佳城全集」は見事2001年版の1位に輝いています。
そして本作は、遺された単行本未収録作品を全て集めた、泡坂妻夫の最後を飾る作品集なのです。
それもあってか、“引退公演”という題に相応しく、装丁も函入りの二分冊という豪華さで、定価の方も五千円近い高額な値段となっているのですね。
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内容の方ですが、まず『第一幕 絡繰』には、「大奥の七不思議」「文銭の大蛇」「妖刀時代」「吉備津の釜」「逆鉾の金兵衛」「喧嘩飛脚」「敷島の道」「兄貴の腕」「五節句」「三国一」「匂い梅」「逆祝い」「隠し紋」「丸に三つ扇」「撥鏤」「母神像」「茶吉尼天」を収録。
内訳は、時代小説の“亜智一郎”シリーズが7編、紋章上絵師が主人公の“紋”シリーズが7編、ノンシリーズの短編が“幕間”に3編。
『第二幕 手妻』には、「カルダモンの匂い」「未確認歩行原人」「ヨギ ガンジー、最後の妖術」「月の絵」「聖なる河」「絶滅」「流行」「魔法文字」「ジャンピング ダイヤ」「しくじりマジシャン」「真似マジシャン」「交霊会の夜」「泡坂さん幕を閉じ」「泡坂妻夫著作リスト」を収録。
内訳は、“ヨギ ガンジー”シリーズが3編(「ヨギ ガンジー、最後の妖術」は未完の遺作)、曾我佳城シリーズのキャラクターが登場する“奇術”シリーズ(曾我佳城は出てきません)が4編、ノンシリーズの短編が“幕間”に4編、“戯曲”が1編、そして新保博久によるあとがきと泡坂妻夫の全著作リストが掲載された“舞台裏”。
泡坂妻夫は、ミステリだけでなく時代小説作家としても評価されていましたし、作家以外にも紋章上絵師やマジシャンとしても活躍していたのですが、それぞれの要素が込められた作品が満遍なく収録されているので、単行本未収録集でありながらこれまでの集大成ともいえる多彩な内容となっていましたね。
とはいえ、肝心のミステリ度の高い作品がほとんどなかったのは少々残念だったものの、収録作唯一の戯曲がミステリ作品で、らしいユーモアと共に泡坂ミステリを堪能することができました。
まあ、泡坂作品初心者がいきなり本作を読むには、内容的にも値段的にもいささか敷居が高いかもしれませんが、泡坂ファンであれば個々の作品を楽しみつつも哀悼や懐古の気持ちが自然と湧き上がってくると思いますし、永久保存版として何年も読み返していきたくなるに違いありません。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.095 「生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術」
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