『確証』 今野敏 > 「このミス」完全読破 No.587
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.587
『確証』 今野敏
「このミス」2013年版 : 37位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.9.30 ~ 読終:2012.10.2
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年7月>
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今野敏は、SFやバイオレンス、アクション、格闘物、オカルトなど様々なジャンルの作品を数多く発表している作家です。
ただここ最近は、もうすっかり警察小説の第一人者として定着していますね。
そんな警察小説でも、“隠蔽捜査シリーズ”や“碓氷弘一シリーズ”などやはり数多くの人気シリーズを抱えているのですが、本作は人気シリーズの仲間入りを新たにするかもしれない、“萩尾警部補シリーズ”の開幕となる作品です。
とはいえ、このシリーズの単行本化は本作が初、というわけではありませんでして、東直己・堂場瞬一と競作した『誇り』に収録の「常習犯」(2010年発売)にも、本作と同じ主人公コンビが登場します。
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渋谷にある高級腕時計店で白昼堂々と強盗事件が発生し、その翌日未明に今度はその近くの宝飾店で、他の商品には目もくれず、店の奥にある金庫にしまわれていたネックレスのみを持ち去る窃盗事件が発生。
現場である宝飾店に向かった盗犯一筋のベテラン警部補・萩尾秀一は、この窃盗事件は前日の強盗犯へ向けたアピールだと指摘して.....。
ここ数年の警察小説では、殺人事件や強盗事件などを担当する捜査一課の刑事ではなく、他の部署の警察官にスポットを当てることが多くなっていまして、本作の主人公は、盗犯捜査を行う捜査三課に所属しています。
上に挙げた事件では、窃盗事件は主人公たち捜査三課、強盗事件は捜査一課、と担当が分かれるのですが、主人公が二件の事件の関連を考えつつ捜査を行うため、プライド高い捜査一課との軋轢が生まれ、お互いの意地をぶつけ合った熱い警察ドラマが迫力満点に繰り広げられていくのです。
さらに本作、というかこのシリーズ自体のテーマとなりそうなのが、ベテラン刑事である主人公と、その相棒である若手刑事・武田秋穂との、師弟物語としての刑事ドラマ。
ただでさえ歳が離れているのに、さらに相手は女性ということで、その部下・相棒としての扱いに主人公が困惑する中、次第に刑事としても人間としても信頼や尊敬をお互いに築いていく姿は、ベタではあるけれどやはり感動的だし面白いのですよね。
ミステリ度は、結構ストーリー展開や推理の先が読めるのでそれほど高くないとは思いますが、ただそれでも、主人公が導き出した推理を敵対する捜査一課さえも納得させられるように、確証を一つ一つ探し出していくという言わば証拠集め的な部分に読み応えがありました。
まあ、長編としてはシリーズ1作目ということで、主人公コンビの関係性や捜査一課と三課の関係性に焦点を当てたためか、事件や人間ドラマにそこまで重みや厚みは感じられませんでしたが、それでも一気に読み進められるほどに惹き込まれますし、盗犯担当刑事という素材が上手く調理されていたので、本作を充分に楽しめたのはもちろん、シリーズ次作にも期待が高まってしまいましたね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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