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2012年10月29日 (月)

『JORGE JOESTAR』 舞城王太郎 > 「このミス」完全読破 No.593

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.593

 『JORGE JOESTAR』 舞城王太郎

   「このミス」2013年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2012.10.15~ 読終:2012.10.23

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年9月>

JORGE JOESTARJORGE JOESTAR
舞城 王太郎 荒木 飛呂彦

集英社 2012-09-19
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 今年(2012年)は、荒木飛呂彦の漫画家生活30周年&漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の連載25周年を記念して、様々な企画やイベントが開催されているのですが、その中に「ARAKI 30th&JOJO 25th/2011-2012 JUMP j BOOKS Presents Special Project “VS JOJO”」(外部サイト)という、ジョジョと小説家とのコラボ企画が行われています。

 その第1弾が上遠野浩平の「恥知らずのパープルへイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-」で、第2弾が西尾維新の「JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN」、そして第3弾にしてラストを飾るのが本作。

 ちなみに、ジョジョと小説家とのコラボとしては、過去には2007年にNo.56「The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day」乙一が発売されています。

 タイトルにもなっている主人公:ジョージ・ジョースターについて説明しますと、ジョジョ第1部の主人公:ジョナサン・ジョースターの息子で、第2部の主人公:ジョセフ・ジョースターの父親となります。

 なのでジョジョの物語上でもかなり重要な人物なのですが、ただ原作においては回想シーンでわずかに関連するエピソードが語られるだけという、脇役とも言えないような扱いとなっているので、そんなキャラクターが主人公の物語というのは、原作で描かれなかった重要部分の補完ということもあり、ジョジョ好きにとってはかなり嬉しい内容なのですね。

 ただしかし、表紙が荒木飛呂彦によるジョージ&リサリサの描き下ろしの絵となっている一方で、裏表紙側はなんと舞城王太郎自身が描いたジョージ&リサリサの絵という、かなり異例な両面カバーとなっていることからも想像出来るように、単なる“ジョジョのノベライズ小説”という枠には収まらない、舞城王太郎らしさが爆発したとんでもない作品でした。

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 物語は、カナリア諸島ラ・パルマ島で暮らす少年時代のジョージ・ジョースターの日常から綴られていきます。

 しかし、「俺の名前はジョージ・ジョースター。」から始まっていく文章はまさしくいつもの舞城節だし、舞城作品ではお馴染みの九十九十九(日本人)がなんとジョージの同級生として登場してくるから驚きです。

 さらには、この二十世紀初頭の物語と並行して、これまた舞城作品ではお馴染みの福井県西暁町を舞台とした現代の物語も並行して進められていくなど、ジョジョの世界と舞城作品の世界ががっぷり四つにぶつかり合っているのです。

 そして舞台を西暁町からジョジョ第4部の舞台である杜王町に移すと、そこからはジョジョの時代を超えた歴代キャラ達が次から次へと登場してきて、もはや“第1部と第2部の間を補完するジョージ・ジョースターの物語”とは全く別物の物語へと突入していきます。

 そんな感じなので“原作を強引にひと塊に凝縮して好き勝手に調理して出来た小説”のようであるものの、それでもジョジョが本当に好きで熟読していないと作り上げることなど出来ないであろう、細部まで綿密に考えられ各キャラの特徴や能力も存分につぎ込まれた、壮大でとんでもないジョジョワールドとして完成しているのですね。

 しかも、並行して語られる両話は、どちらにも探偵が登場して、No.119「ディスコ探偵水曜日」を彷彿とさせるような超とんでもSF的な本格ミステリ展開が繰り広げられていくので、ジョジョの作品世界を使って生み出した新たな舞城ワールドともいえるでしょう。

 そういった作品なので、まずジョジョを第8部「スティール・ボール・ラン」まで読んでいないと話に付いていけなかったり本来の面白さが伝わりにくいと思うし(ジョジョ各部のネタバレにもなりますし)、それでいて舞城王太郎のかなり独特で癖の強い作風・文章・世界観を受け入れることが出来る人でないと、ジョジョ好きというだけでは本作を心から楽しむことはできないのでは。

 ネット上での感想を見てもその評価は賛否両論激しく分かれていて、例を挙げるならばAmazonのレビューはこれを書いている時点で66件あるのですが、そのうち☆5段階評価の☆3を付けた人が一人もいないという、好きな人はとことん好きになるし、合わない人は嫌悪感を抱いてしまうほどに合わない、という規格外のノベライズ作品なのです。

 というわけで、今や国民的漫画と呼べるほどに一般層にまで広まった感のある「ジョジョの奇妙な冒険」のノベライズであるにもかかわらず、読む人をかなり選ぶという衝撃的な作品ですが、それだけに“VS JOJO”という企画には忠実だとも言えますし、ジョジョ好きであり舞城作品好きの自分としては、この奇跡のコラボを心行くまで楽しむことができましたからね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★★☆


   本格ミステリ度  : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★★★    おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★★    気軽に読める度 : ★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “舞城王太郎” 関連記事 】

  > No.826 「淵の王」

  > No.593 「JORGE JOESTAR」
  > No.363 「獣の樹」
  > No.274 「ビッチマグネット」
  > No.119 「ディスコ探偵水曜日」
  > No.071 「煙か土か食い物」


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