『ファイナル・オペラ』 山田正紀 > 「このミス」完全読破 No.575
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.575
『ファイナル・オペラ』 山田正紀
「このミス」2013年版 : 103位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 13位
「黄金の本格ミステリー」 選出
読始:2012.8.29 ~ 読終:2012.9.1
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年3月>
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No.561「ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件」、No.570 「マヂック・オペラ 二・二六殺人事件」に続く、“オペラ三部作”の3作目にして完結編です。
このシリーズは“昭和史を探偵小説で描く”というテーマが掲げられているのですが、本作では太平洋戦争終戦間際の東京が舞台となっています。
そして、このシリーズは三部作ではあるものの、話自体はそれぞれ独立しているので本作から読んでも問題ないですが、1作目は本格ミステリ大賞&日本推理作家協会賞をダブル受賞し「このミス」でも3位にランクインするなど作者の代表作としての評価を受けているほどの作品なので、やはりまずは1作目から読んでみるのが良いのではないでしょうか。
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八王子の神社の神主を務める明比家では、秘能『長柄橋』を伝承していて、14年ごとに演じる決まりに。
そして昭和20年、能を演じる年がやって来たものの、14年前の上演中に奇妙な殺人が起こっていたこともあってか、再び上演前から不吉な出来事が巻き起こって.....。
というわけで今回は能がテーマとなるのですが、この能『長柄橋』の内容というのが“世界最古の探偵小説”とでもいうべきものなのです。
そのため、この能の検証作業のようなものが行われ、それが暗号系本格ミステリのようですし、14年前に起きた事件の謎、そしてそれに関係する形で起こる新たな謎も、探偵小説的な妖しさに満ち溢れていて、それらが幻想と奇想とで覆われているので、この圧倒される読み応えはこのシリーズならではなのではないでしょうか。
とはいえ、探偵役の“閲覧図書館”黙忌一郎が登場するまでは難しい能の解釈が中心ですし、黙忌一郎が登場してからも過去の推理が中心なので、前2作と比べても、物語やストーリーの進み具合や登場人物たちの動きは、かなり鈍くゆったりとした印象がありました。
個人的には、それが理由でか掴み所が全く分からずにかなり読み進め辛くて、なかなか物語世界に入っていくことができなかったですし、やはりシリーズ完結編ということもあって1作目を超えるほどの面白さを期待してしまっただけに、1作目とはまた違う方向性の歴史幻想ミステリだったので拍子抜けした感があったのですよね。
まあ、一度読んで掴み所がわかったので、再読した際には本作の本来の面白さを堪能できると思うのですが、初読の感想としては自分にはちょっと難しすぎたかな~といった感じでしょうか.....。
> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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