『猫ノ眼時計』 津原泰水 > 「このミス」完全読破 No.574
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.574
『猫ノ眼時計』 津原泰水
「このミス」2013年版 : 29位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.8.27 ~ 読終:2012.8.28
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年7月>
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No.565「蘆屋家の崩壊」、No.568「ピカルディの薔薇」に続く、“幽明志怪シリーズ”の3作目にして、シリーズ完結編となります。
このシリーズは基本的に短編集なので、収録作単体でも楽しむことができるように書かれているため、どの作品から(どの収録作から)読んでも問題ないでしょう。
ただ、本作には1作目に出て来た人物が再登場する話があるのですが、あらかじめこの人物との馴れ初めは知っていた方がより面白く感じられると思うので、やはり1作目から順番に読むことをお薦めしますね。
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というわけで本作ですが、「日高川」「玉響」「城と山羊」「続・城と山羊」「猫ノ眼時計」という5作品を収録。
前2作はほぼ同じ分量の短編集でしたが、「城と山羊」は「続・~」も含めれば150ページという(このシリーズとしては)長編だし、表題作の「猫ノ眼時計」は20ページにも満たないなど、本作は収録作の分量的にはバラバラとなっていました。
それから、1作目では猿渡と伯爵のコンビによる話だったのに、2作目では伯爵の出番がほとんどなかったのですが、本作では再び猿渡&伯爵コンビが復活(伯爵不在の話もあり)。
猿渡が怪奇現象とめぐり合う性質と幻想世界へと自ら入り込んでいく性質を持っているのに対し、伯爵はそんな怪奇・幻想の謎を解く探偵のような役割となっていまして、そのためか伯爵の出番がほとんどなかった2作目では、1作目と比べても夢幻的な掴み所のない雰囲気がかなり強く感じられました。
ただ今回は伯爵の存在があったので、ミステリ度も1作目並みに戻っていましたし、読んでいて幻想世界へと迷い込んでも現実世界に戻ることができる安心感がありました(まあ2作目の不安定な読み応えも好きでしたが)。
それに、猿渡&伯爵コンビのやり取りというのは、幻想と現実との対比はもちろん、食べ物に対する掛け合いなど、やはり絶妙な関係だと改めて感じたし、そんな関係が相変わらずの面白さでしたね。
しかも、「日高川」「城と山羊」「続・城と山羊」ではかなりキャラクターの濃い第3の人物も加わって、今まで以上に賑やかで微笑ましいやり取りが繰り広げられるので、前2作と同様の魅力もありつつ、本作ならではの魅力も大いに味わうことができました。
そして、本作でシリーズも完結となったので、巻末には主な出来事とその収録作品名が時系列順に並べられた年表が掲載されているのですが、これを見てしまうと、今度は時系列順に読み返してみたくなってしまいますねェ。
あと、やはりシリーズ短編集というのは、各作品ごとに付けている個人的評価はどうしても長編と比べて高くなりにくいのですが、今回はシリーズ最終作ということもあり、本作単体というよりもシリーズ全体の評価として点数を付けてみました。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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