『147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官』 川瀬七緒 > 「このミス」完全読破 No.578
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.578
『147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官』 川瀬七緒
* 文庫化の際に『法医昆虫学捜査官』に改題
「このミス」2013年版 : 57位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.9.6 ~ 読終:2012.9.7
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年7月>
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「よろずのことに気をつけよ」で昨年(2011年)の江戸川乱歩賞を受賞した川瀬七緒の、受賞第一作となる作品です。
半年の間に10回もボヤ程度の放火が起きていた東京・板橋近辺で、今度はアパートが全焼するほどの大きな放火事件が発生。
火元の部屋から発見された黒焦げの被害者は、この火災が原因で死亡したと見られていたものの、その体内からウジの塊が出てきたことなどから、すでに火災の前に殺害されていたことが明らかに。
それもあってか、警察組織としては全国初の試みとして、実験的に法医昆虫学者が捜査陣に加わることになって.....。
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というわけで、殺人事件を捜査する刑事サスペンスミステリなのですが、本作の特徴といえるのが、昆虫の専門知識を活用して捜査を進めていくところにあります。
とはいえ、法医昆虫学者がその専門知識でもって警察が苦戦している謎を鮮やかに解決していく、といったような超天才タイプではなくて、多くの警察関係者から腫れもののように扱われつつ、真相への手掛かりさえなかなか見つけられずに悪戦苦闘する、といったどちらかといえば努力型のタイプです。
それに、法医昆虫学による捜査の一方で、刑事による捜査の方も描かれていくのですが、容疑者がいずれも癖の強い個性派たちということもあって読み応えがあるので、法医昆虫学による蘊蓄も交えた捜査も、普通の刑事サスペンスとしての捜査も、どちらからも面白さが強く伝わってきますし、それが良い意味で相乗効果となっているのですね。
ただ、昆虫といってもカブトムシや蝶やトンボなどのほのぼのとしたものではなく、ウジや蜂やイモムシなど気色の悪いものばかりなので、かなりおぞましいほどの描写が次々と出てきますし、法医昆虫学者のキャラクターも、少々漫画的な変人タイプなので、そこら辺で苦手というか物語に乗り切れないという人もいるかも。
それに、真犯人が犯行内容やその動機をペラペラと喋り出すという新人作家にありがちなマイナス面もあったりするのですが、ただそういった部分を補って余りあるほどの面白さが作中からにじみ出ているので、変化球と直球の両方の魅力を存分に味わうことのできる刑事サスペンスとして多くの人にお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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