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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.573
『クエーサーと13番目の柱』 阿部和重
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.8.27 ~ 読終:2012.8.27
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年7月>
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阿部和重は、エンタメというよりも純文学の世界で活躍している作家です。
群像新人文学賞を受賞してデビューし、その後も芥川賞・毎日出版文化賞・伊藤整文学賞・野間文芸新人賞など、数々の純文学の賞を受賞しています。
そして一昨年(2010年)には、後に谷崎潤一郎賞を受賞する超大作「ピストルズ」を発表し、「このミス」でもランクインこそしなかったものの38位となるほどに票を集めたのですが、本作はそれ以来となる新作で、ページ数的にもジャンル的にも前作より読みやすい作品に仕上がっていました。
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元写真週刊誌の記者であるタカツキリクオは、現在は最新機器を駆使し綿密なチームプレイで対象を調査するモニタリングチームの一員として活躍中。
しかし、依頼主から指示されているターゲットというのが、アイドルグループのメンバー“Q”。
物語の前半は、主人公たちによるアイドルへのパパラッチ的行動が描かれていくのですが、モニタリングチームとしての職人的なプロフェッショナルさと、その調査対象(アイドル)&依頼主の目的のギャップが面白いですし、やはり作者がアイドル(ハロプロ)好きとして一部で有名なだけあって、アイドルに関しての描写もなかなかの読み応えでした。
そして物語は、主人公たちのチームが任務中に何者かによる罠にはまっていたことがわかってから急展開を見せて、一気にスリル溢れる逃亡劇&追跡劇へと変貌を遂げるのです。
これによりサスペンス的緊迫感が増しますし、(まあ大っぴらとはいえ)黒幕は誰かといったミステリ的な展開もあるなど、エンタメ的に作品を盛り上げているものの、そんなエンタメ要素を直球で描いているというよりは、テーマ性や社会風刺的な部分をあくまで中心に描いているように感じました。
なので、エンタメ作品として読むと小難しさや掴み所のなさを感じて物語に乗り切れないかもしれませんが、阿部作品としては読みやすいですし、オンラインメディア的世相で装飾されたスタイリッシュな物語としての魅力で満ち溢れているので、好きな人にはこの空気感はたまらないのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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