『ノエル -a story of stories-』 道尾秀介 > 「このミス」完全読破 No.583
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.583
『ノエル -a story of stories-』 道尾秀介
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.9.21 ~ 読終:2012.9.21
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年9月>
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道尾作品といえば、読者を騙すどんでん返しが特徴でしたが、2009年のNo.294「球体の蛇」以降はどんでん返しのない文芸的な作風にチェンジしています。
それもあってか、常連だった「このミス」にここ2年はランクインしていないものの、だからといって「このミス」対象外の作品ばかりになった、というわけではありませんでして、、No.311「光媒の花」が2011年版22位(20位が2作品のため次点)、No.396 「月と蟹」が同じく2011年版で27位、No.432「カササギたちの四季」が2012年版23位と、どんでん返しがなくとも、ミステリ成分が減ろうとも、ランクイン一歩手前になるほどに票を集めているのです。
なので、新刊が出る度に、今度はどんでん返しが復活しているのだろうか、ミステリ成分はどのくらいなのだろうか、「このミス」で票を集めそうなタイプだろうか、といった所が気になるし、それが道尾作品を読むうえでの楽しみの一つなのですが、そこら辺はネット等で感想や書評を目にする前に読んでしまわないと楽しめないので、道尾作品は発売直後に読んでしまいたくなるのですよね。
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というわけで本作は、「光の箱」「暗がりの子供」「物語の夕暮れ」という3つの中編、そして「四つのエピローグ」から成る連作集です。
それぞれの話で主人公は違っていて、最初の2作では家庭環境が悪く学校ではイジメにあっている少年少女という道尾作品の定番ともいうべき主人公なのですが、そういった切なく哀しく重い話が中心というわけではなく、逆にそんな状況だからこそ輝く優しい光の方がメインといった感じなので、前作No.546「光」(シリーズとしての前作という意味ではありません)と同様の前向きさやほのぼのとした雰囲気が作品全体から感じられました。
そしてミステリ的には、この3作が絵本を中心にして絶妙にリンクしていて、それがさらなる感動を呼び起こしていますし、各作品にはそれぞれちょっとした仕掛けが施されているので、それによりアッと驚く演出を楽しむことが出来るのです。
とはいえ、以前の作品にあったような大仕掛けなどんでん返しというわけではなく、頭を捻りながら読めば勘付いてしまうようなちょっとしたものなので、あまりこのトリックは気にせずに、あくまで最近の文芸系の作品を楽しむのと同じような感じで読み進めていくのが良いと思いますね。
ちなみに、作品タイトルからも想像出来ると思いますが、特に最初の話などはクリスマスシーズンが舞台となっているので、発売後すぐに読みたい(発売されたのはまだ夏の暑さが残る9月)というのでなければ、長袖で身を飾る季節になってから読んでみてはいかがでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.0583 「ノエル -a story of stories-」
> No.0546 「光」
> No.0498 「水の柩」
> No.0432 「カササギたちの四季」
> No.0396 「月と蟹」
> No.0340 「月の恋人~Moon Lovers~」
> No.0312 「蝦蟇倉市事件 1」
> No.0311 「光媒の花」
> No.0294 「球体の蛇」
> No.0233 「花と流れ星」
> No.0186 「龍神の雨」
> No.0169 「鬼の跫音」
> No.0121 「ラットマン」
> No.0117 「カラスの親指」
> No.0097 「ソロモンの犬」
> No.0058 「片眼の猿」
> No.0049 「シャドウ」
> No.0041 「向日葵の咲かない夏」
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