『マヂック・オペラ 二・二六殺人事件』 山田正紀 > 「このミス」完全読破 No.570
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.570
『マヂック・オペラ 二・二六殺人事件』 山田正紀
「このミス」2007年版 : 60位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.8.20 ~ 読終:2012.8.21
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2005年11月>
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No.561「ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件」に続き、No.575「ファイナル・オペラ」へと続く、“オペラ三部作”の2作目です。
このシリーズは“昭和史を探偵小説で描く”というテーマが掲げられているのですが、本作で扱われる昭和史というのが、副題にもなっている“二・二六事件”。
そのため、二・二六事件やそこに至るまでの情勢などの説明・描写が多いので、そこら辺の日本史についてある程度の知識があったほうがより楽しめるだろうし、そういった近代史が苦手だという人だとなかなか読み進めづらい内容かもしれません。
そしてシリーズとしては、前作よりも時間軸的に前の物語となっていることもあり、本作から読んでも問題ないですが、前作は本格ミステリ大賞&日本推理作家協会賞をダブル受賞し「このミス」でも3位にランクインするなど作者の代表作としての評価を受けているほどの作品なので、やはりまずは前作を読んでみるのが良いのではないでしょうか。
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警視庁の特高である志村恭輔は、“検閲図書館”と呼ばれる黙忌一郎の依頼で、置屋の密室で起きた“乃木坂芸者殺人事件”の調査を始めることに。
動乱へと向かう気配が漂う中で謎を追っていくと、奇妙な出来事に次々と遭遇して....。
昭和11年に東京で起きたこのクーデター未遂事件である二・二六事件は、謎な部分が多く真相は闇に包まれた状態なのですが、そんな歴史的事件を江戸川乱歩的探偵小説と絡めることで、重厚で外連味溢れる歴史ミステリに仕上がっていました。
さらには幻想性や怪奇性に彩られていることで、前作同様の妖しく不気味な雰囲気で作中が覆われていますし、それが二・二六事件へと進んでいく不穏な東京の空気感と絶妙に溶け込んでいたので、このシリーズならではの世界観が魅力的に作り出されていたように思います。
とはいえ、圧倒されるほどのスケール感にしても、本格ミステリ的要素やその派手さにしても、読む人を魅惑の世界へと誘う作品構成にしても、さすがに大傑作だった前作と比べると物足りない感じもあるのですが、それでも山田正紀にしか書くことのできないであろう“幻想歴史探偵ミステリ”としての読み応えは、やはり圧巻でしたし心地良いものでしたね。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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