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2012年8月21日 (火)

『微笑む人』 貫井徳郎 > 「このミス」完全読破 No.569

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.569

 『微笑む人』 貫井徳郎

   「このミス」2013年版 : 28位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 19位

   読始:2012.8.17 ~ 読終:2012.8.19

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年8月>

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貫井 徳郎

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 貫井徳郎の、2012年2作目となる新作です。

 2012年1作目のNo.556「新月譚」は、女性目線による恋愛物語という、作者的に異色の作品だったわけですが、直木賞の候補にノミネートされるなど(受賞はならず)、大変高い評価を受けました。

 そして本作ですが、その反動というわけでもないのでしょうが、“事件ミステリ”という待望の作者お得意ジャンルの新作となったのですね。

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 川で母娘が亡くなる水難事故が発生し、当初は普通に事故として処理されようとしていたものの、事故当時その場にいた夫・仁藤俊実による妻子殺害事件だったことが判明。

 取り調べでも素直に犯行を自供する仁藤だったが、そこで語られた犯行動機は常識を逸したもので.....。

 そしてこの事件はネットを中心にした大騒動に発展することになるのですが、そんな事件に興味を持ったある作家が、事件の関係者や過去に仁藤と関わりを持った人物などに取材を行うことによって、事件の真相と仁藤の本性を暴き出そうという物語です。

 基本がインタビューとその考察なので、小説というよりもノンフィクション作品を読んでいるような感覚にもなるのですが、話が進むにつれて、そしてエピソードが過去へと遡っていくにつれて、誰から話を聞いても“良い人”である仁藤の本当の姿が浮かび上がっていく所など、ノンフィクションの手法を使った小説としての魅力にグイグイと惹きつけられてしまいました。

 そんなわけで、過去を探っていくことで事件の真相へと近づいていくという、王道ミステリ的な展開で、その内容にしても読み応えにしても王道的な面白さがあるのですが、しかしこれがクライマックスへと辿り着くと、たちまち超問題作へと姿を変えてしまうのです.....。

 この展開には、ほとんどの人が読後にモヤモヤ感を抱えてしまうことになると思うし、そこに至るまでの物語を面白く読んでいた人ほど怒りだしてしまうのではないかとも思うのですが、ただこういったクライマックスだからこそ本作のテーマが強烈に浮かび上がって来たのだろうし、だからこそある意味で傑作となりえたのではないでしょうか。

 なので、帯に書かれている作者自身の『ぼくのミステリーの最高到達点です』という言葉から、素直に“王道ミステリ的な意味での最高傑作”と期待して読んでしまうと、かなりガッカリしてしまう可能性が高いので、あくまで“問題作としての傑作(なのかもしれない)”と認識したうえで読むことをお薦めしますね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★      鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★       主キャラ魅力 度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★      感涙ウルウル度 : ★
   衝撃バカミス度 : ★★★★     気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “貫井徳郎” 関連記事 】

  > No.767 「私に似た人」
  > No.666 「ドミノ倒し」
  > No.605 「灰色の虹」

  > No.569 「微笑む人」
  > No.556 「新月譚」
  > No.337 「明日の空」
  > No.237 「乱反射」
  > No.099 「慟哭」


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