『蘆屋家の崩壊』 津原泰水 > 「このミス」完全読破 No.565
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.565
『蘆屋家の崩壊』 津原泰水
「このミス」2000年版 : 14位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「怪談短篇オールタイムベスト(国内編)」
35位作品 『反曲隧道』 収録
「怪談短篇オールタイムベスト(国内編)」
35位作品 『猫背の女』 収録
「怪談短篇オールタイムベスト(国内編)」
71位作品 『水牛群』 収録
年度ランキング : 「ベストSF1999」 10位
読始:2012.7.23 ~ 読終:2012.8.9
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本(集英社文庫) <2002年3月>
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No.568「ピカルディの薔薇」、No.574「猫ノ眼時計」へと続く(2012年8月現在)、“幽明志怪シリーズ”の1作目です。
津原泰水はミステリ作家というよりは幻想小説家で、「このミス」に初ランクインとなった本作も『異能の怪奇幻想作家』『このジャンルの作品がランクインするのは初めてではないだろうか』と「このミス」内で紹介されていました。
つまりは、ミステリ作品も書いているとはいえ、大まかにいえば「このミス」的に他ジャンル作家であるわけなのですが、それでも2011年版でNo.376「瑠璃玉の耳輪」、2012年版でNo.602「11 eleven」と現時点(2013年版ランキング発表前)で2年連続「このミス」にランクイン中ということからも、その評価のほどが窺い知れますね。
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というわけで本作ですが、「反曲隧道」「蘆屋家の崩壊」「猫背の女」「カルキノス」「ケルベロス」「埋葬虫」「水牛群」という7つの短編と、作者自身による解説である「跋文」を収録。
ただこれは単行本版のことで、集英社文庫版では「超鼠記」が加わり「跋文」が外れ、ちくま文庫版では「奈々村女史の犯罪」が加わり「跋文」も再追加(「超鼠記」は2作目『ピカルディの薔薇』に収録)と、版によって収録作品が異なっています。
30歳を過ぎても定職に就けずにいる猿渡と、怪奇小説家である伯爵、このコンビをメインに据えたシリーズで、各話にストーリー的な繋がりがあったり、一冊を読み終えると一つの物語になったりといった構成ではないものの、微妙に繋がっていたりもするので連作的といえるのかも。
主に伯爵の取材に猿渡が同行した際に起きた事件や騒動が描かれていくのですが、それらには土俗的な怪奇や不気味な空気感に満ちているので、直接的な分かりやすい恐怖というよりも、得体の知れない何かに背中を撫でられるようなゾクッとする恐怖を味わうことができるはず。
それに、読み進めるにつれて幻想的な雰囲気で濃く覆われていくので、集英社文庫版の巻末解説で皆川博子が大絶賛するほどの文章力もあって、読んでいてこの幻想世界に溶け込んでいくかのようでした。
一方で、猿渡と伯爵との会話ややり取りは楽しいし、グルメに関する描写が細かなほどに出てくるので、そんな現実的な部分の魅力によって、幻想性や怪奇性の魅力もより一層増していたのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.640 「爛漫たる爛漫 クロニクル・アラウンド・ザ・クロック」
> No.602 「11 eleven」
> No.574 「猫ノ眼時計」
> No.568 「ピカルディの薔薇」
> No.565 「蘆屋家の崩壊」
> No.376 「瑠璃玉の耳輪」
> No.180 「たまさか人形堂物語」
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