『言霊たちの夜(言霊たちの反乱)』 深水黎一郎 > 「このミス」完全読破 No.564
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.564
『言霊たちの夜』 深水黎一郎
* 文庫化の際に『言霊たちの反乱』に改題
「このミス」2013年版 : 60位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.8.2 ~ 読終:2012.8.8
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年5月>
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深水黎一郎は、“芸術探偵シリーズ”を始めとして、とても硬派で少々難解な本格ミステリマニアに好まれる作品を発表しています。
なのですっかり忘れてしまいがちなのですが、メフィスト賞を受賞したデビュー作「ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!」は、タイトルからも分かるように“読者が犯人”に挑戦したバカミスだったのですよね。
そして本作は、聞き間違いや誤変換により笑いを生み出している、作者久々のバカミス的作品となっているのです。
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というわけで本作ですが、「漢は黙って勘違い」「ビバ日本語!」「鬼八先生のワープロ」「情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群」という4つの短編から成る連作集です。
それぞれの話の登場人物は違うものの、同じ時間の近い場所での出来事が繰り広げられ、小ネタ的な部分でリンクしていきます。
そして前述したように、主人公が聞き間違いの名人だったり、主人公の使うワープロが誤変換しまくったりするので、作中にはいくつもの言葉遊び、まあ分かりやすく言ってしまえばダジャレや親父ギャグに近い語句が頻出しまして、それによって読んでいて思わずニヤリとしてしまうのですね。
とはいえ、単なるギャグ集にはなっていませんでして、言語的な蘊蓄や昨年話題になったテレビ偏向報道問題(詳しくは前作No.488「人間の尊厳と八〇〇メートル」参照)などを絡めることで読み応えを増していますし、聞き間違い等の連鎖により主人公たちがどんどんとどつぼにはまっていく様も見事なので、そういった演出や構成などに深水作品らしさを味わうことが出来るのではないでしょうか。
そんな収録作の中でも、バカバカしさと言葉遊びとが狂気のごとく融合した、まるで倉阪鬼一郎のバカミスシリーズ(No.391「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人」など)や鳥飼否宇のバカミス作品(No.118「官能的」など)を思わすような「鬼八先生のワープロ」が特に秀逸でして、読んでいて呆れながらも(バカミス的な)感動を覚えてしまいました.....。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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