『新月譚』 貫井徳郎 > 「このミス」完全読破 No.556
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.556
『新月譚』 貫井徳郎
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「直木三十五賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.7.4 ~ 読終:2012.7.6
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年4月>
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貫井徳郎は、社会派なテーマを込めつつトリックやどんでん返しなどの趣向を凝らしたミステリ作品を主に発表しています。
しかし本作では、そういったトリックなどのミステリ要素を排して、女性目線による恋愛物語を描くという、新境地開拓とでもいうべき作風の変化が見られているのですね。
そんな挑戦が成功しているのは、直木賞にノミネートするなど発売直後から反響が大きかったことからもわかりますし、なにより実際に読んでみれば実感できるのではないでしょうか。
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八年前に突然絶筆した大物作家・咲良怜花は、自宅を訪れてきた新人編集者に対し、今まで誰にも話して来なかった断筆理由を語ることに。
しかしその内容は、怜花の隠されてきた半生をさらけ出した、壮絶で波乱万丈な恋愛物語で.....。
というわけで、20代のOLであった怜花が、いかにして恋愛に溺れ、作家を目指すことになり、大物作家にまで登り詰め、断筆することになったのか、といった物語が、怜花目線で描かれていきます。
OL当時の怜花が容姿にコンプレックスを持ち男性と付き合ったこともない女性だったこともあり、恋愛話といっても華やかでラブラブなものではなく、鬱屈していて負の感情がうごめくようなタイプなので、どことなくサスペンス的な雰囲気も漂っていたように感じました。
そしてそんな主人公の心理描写も丁寧かつ臨場感たっぷりに描かれているので、これを男性作家が(貫井徳郎が)書いたということを読んでいて忘れてしまうほどなのですが、桐野夏生や真利幸子ならもっとドロドロネチネチと書いていそうな内容なのに、結構あっさりというかスッキリとした読み応えとなっていたところなど、やはり男性作家ならではといえるのでは。
そんな恋愛話の途中から産まれ出る形で、主人公が作家を目指す物語も進んでいきまして、文壇の魅力的な裏話を絡めつつ、一人の作家のサクセスストーリーが繰り広げられていきます。
こちらの作家としての物語にも、もちろん恋愛話の要素が密接に絡んできますし、それゆえに作家を目指す理由や作家としての苦悩、傑作を書き上げてしまう素養などにもより説得力が加わっていましたね。
そんなわけで、基本は恋愛小説ではあるものの、作家の成長&成功物語としての魅力も大いにありましたし、560ページというボリュームの割には読み進めやすい文章なので、“恋愛小説だから”という理由だけで敬遠してしまうのはもったいないのではないでしょうか。
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> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.569 「微笑む人」
> No.556 「新月譚」
> No.337 「明日の空」
> No.237 「乱反射」
> No.099 「慟哭」
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