『猫背の虎 動乱始末(大江戸動乱始末)』 真保裕一 > 「このミス」完全読破 No.552
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.552
『猫背の虎 動乱始末』 真保裕一
* 文庫化の際に『猫背の虎 大江戸動乱始末』に改題
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.6.27 ~ 読終:2012.6.29
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年4月>
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真保裕一は、江戸川乱歩賞を「連鎖」で受賞してデビューし、その後も(デビュー作を含めた)“小役人シリーズ”を始めとして毎年のように「このミス」にランクインを果たし、No.23「ホワイトアウト」で1位、No.69「奪取」で2位となるなど、「このミス」高位の常連作家でした。
ただ2001年版以降は、作風の変化もあってか一転してランキングに全く顔を出さなくなったので、「このミス」的には過去の作家的なポジションとなってしまっているのでしょうか.....。
とはいえ現在も精力的に作品を発表しているのには変わりなく、そんな中でもここ最近では時代小説にも挑戦していて、本作は「覇王の番人」「天魔ゆく空」に続く3作目の時代小説となるのですね。
ただ、同じ時代小説とはいえこの3作はシリーズものではなくそれぞれ単独の作品ですし、本作は前2作とはまたタイプの違った時代小説に仕上がっていました。
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江戸時代の安政期、江戸の町を大地震が襲い、その被害は甚大なものに。
巨漢ながらも背を丸めて歩く姿から“猫背の虎”とささやかれている同心の大田虎之助は、人手不足と亡き父の偉業の影響からか、同心の中でも花形に近い臨時廻りの役職に大抜擢。
大地震の影響を色濃く残す江戸の町で起きた様々な謎を解決せんと、虎之助は町中を駆けずり回ることに.....。
というわけで、同心(今でいう刑事)を主人公に据えた時代小説なのですが、各章ごとに違った事件が取り扱われ、さらには作品全体を通した事件や謎もあるという、連作に近い形式となっています。
まずはやはり、今でいう震度6に相当する安政の大地震によって、多数の死傷者が出て、大火事も起き、多くの建物が崩壊するという状況が、昨年(2011年)の東日本大震災を経験しているだけあってよりリアルに感じられました。
そんな混乱の江戸で起きる事件の謎を主人公が追っていくわけですが、ミステリ的には意外性のある真相や思わずうなってしまうような推理などはそれほどないものの、大地震直後という状況だからこその事件や騒動が描かれ、それが巨漢ながらもお人好しな主人公の物語にも大きく影響を与えていくので、人情系時代ミステリとしての読み応えは大いにあるのではないでしょうか。
主人公の純情的な恋物語もあり、事件捜査に捕り物あり、震災直後の人間ドラマもありと、様々なエンタメ要素が盛り込まれているので、時代小説としてはもちろん、時代小説という枠を超えた魅力も感じられましたね。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.385 「ブルー・ゴールド」
> No.248 「デパートへ行こう!」
> No.069 「奪取」
> No.023 「ホワイトアウト」
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