『楽園のカンヴァス』 原田マハ > 「このミス」完全読破 No.551
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.551
『楽園のカンヴァス』 原田マハ
「このミス」2013年版 : 6位
受賞(候補) : 「山本周五郎賞」受賞
(「直木三十五賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本屋大賞」 3位
「キノベス!」 4位
「ミステリが読みたい!」 5位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR
(小説ランキング)」 5位
(文庫ランキング)」 5位
「週刊文春ミステリーベスト10」 6位
読始:2012.6.24 ~ 読終:2012.6.26
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年1月>
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原田マハは、「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、同作にてデビュー。
デビューのきっかけになった賞や、別名義にてケータイ小説を執筆していることからもわかるように、これまでは恋愛小説やエンタメ文学的な作品を発表していました。
そして本作で初のミステリ作品に挑戦となったわけですが、発売直後から評判も良く話題になっていて、さらには山本周五郎賞を受賞するなど、その評価は高まる一方という状況なのですよね。
それはやはり本作が、ニューヨーク近代美術館などに勤務経験があるという経歴が存分に活かされた、長い構想を経て初めて挑む美術分野の長編小説だ、ということも大きいのでしょう。
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ニューヨーク近代美術館のアシスタント・キュレーターであるティム・ブラウンが、スイスの大邸宅に招かれると、そこにはルソーの名作『夢』にそっくりな『夢をみた』という作品が。
持ち主の富豪に“真贋を正しく判定した者に作品を譲る”と告げられたティムは、謎の古書を判断材料にして、日本人研究者・早川織絵と鑑定対決をすることに.....。
というわけで、この『夢をみた』がルソーの描いた本物の作品なのかを見抜く鑑定ミステリであり、この作品を巡る謎や騒動が巻き起こる美術ミステリでもあります。
さらには、謎の古書の内容というのがルソーの画家時代の生活がつづられた話なので、知名度の割には謎が多く評価も分かれる“ルソー”自身の物語でもあります。
つまりは、絵画自体についてはもちろん、美術作品に関わる仕事といういわば絵画の外側の世界、そして画家自身の物語という絵画の内に秘められた世界まで描かれているわけですが、やはり様々な美術館に勤務しフリーのキュレーターにもなった作者の経歴が見事に活かされていて、美術に関する様々な魅力と情熱とが色彩鮮やかに押し寄せて来るように感じられるほどなのですね。
ミステリ・サスペンス的にも、美術をテーマにした物語としても、画家に焦点を当てた人間ドラマとしても、ガッツリとした読み応えはなくて、どちらかといえば「このミス」より「本屋大賞」向きな作風ですが、その分万人に好まれそうな作品に仕上がっているので、美術好きな人はもちろん、それほど興味がない人でも、物語世界と美術世界に魅入ってしまうほどに楽しむことが出来るのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 “原田マハ”関連記事 】
> No.1109 「風神雷神 Juppiter, Aeolus」
> No.0907 「暗幕のゲルニカ」(後日更新予定)
> No.0551 「楽園のカンヴァス」
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