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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.548
『衣更月家の一族』 深木章子
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) : (「本格ミステリ大賞」候補)
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 19位
読始:2012.6.19 ~ 読終:2012.6.19
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年3月>
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“第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞”をNo.474「鬼畜の家」で受賞しデビューした深木章子の、デビュー2作目となります。
そのデビュー作は、「このミス」でこそ35位とランクインまであと一歩だったものの、それ以外の「本ミス」「文春」「早ミス」では全て20位以内にランクインするなど、デビュー作としてはかなり高い評価を受けていました。
まあ、デビュー作が高評価であっても、2作目をなかなか出せなくて苦労している作家も多くいるわけですが、本作の作者の場合はデビュー作から約1年後にこうして早くも2作目が登場しているので、それだけでも実力のほどが窺い知れますよね。
ちなみに、本作には前作で探偵役を務めた人物が再登場しますが、前作の話題はほんのちょっとだけ触れる程度なので、本作から読んでも全く問題ないでしょう。
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というわけで本作ですが、プロローグの後に「廣田家の殺人」「楠原家の殺人」「鷹尾家の殺人」と続いていきます。
これらは全く別の事件であるばかりか、事件のタイプも展開の仕方も語り口も異なっていて、しかもそれぞれが独立した面白さを持っているので、まるで連作集というか短編集のような感じで楽しむことが出来ると思います。
ただやはり本作は本格ミステリなので、それらの無関係に思えた複数の事件が最終章の「衣更月家の一族」で一気に繋がっていくのです。
それもただ繋がっていくだけではなく、結末や真相が不明なままだった各事件を解決しつつ事件全体に隠された謎をも解き明かしてしまうので、そんなミステリ的な仕掛けが期待以上の鮮やかさ&読み応えでした。
そんなわけで本格ミステリとしては、前作同様に優等生的ではあるもののやはり素晴らしかったのですが、それにも増して各事件におけるサスペンス的物語に、新人とは思えぬ文章力もあって惹きつけられましたね。
そのために逆の効果として、解決編に入った途端に「サスペンス→本格ミステリ」というように作品の色やジャンル自体がガラリと変わってしまうようにも感じられたので、作品全体のバランスとしてみたら少々もったいなかったかな~とも思ったり。
なので、探偵的本格ミステリ作家としてもかなりの魅力があるとはいえ、本作の「楠原家~」「鷹尾家~」タイプのサスペンス風ミステリに徹した作品も読んでみたいし、そちらの方が大ヒットする可能性がかなり高いのではないでしょうかねェ。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力 度 : ★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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> No.0548 「衣更月家の一族」
> No.0474 「鬼畜の家」
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