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2012年6月 8日 (金)

『玩具店の英雄 座間味くんの推理』 石持浅海 > 「このミス」完全読破 No.544

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.544

 『玩具店の英雄 座間味くんの推理』 石持浅海

   「このミス」2013年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2012.6.5 ~ 読終:2012.6.5

   読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年4月>

玩具店の英雄: 座間味くんの推理 (光文社文庫)玩具店の英雄: 座間味くんの推理 (光文社文庫)
石持 浅海

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 No.70「月の扉」No.89「心臓と左手」に続く、“座間味くんシリーズ”の3作目です。

 ちなみに、1作目は長編、2作目はシリーズ短編集でしたが、本作は2作目と同じ形式のシリーズ短編集となっています。

 本作の中でも1作目に関する話題が度々出てくるので、1作目から順番に読んでいくのがやはり一番ですが、ただネタバレというわけではないですし、登場人物の関係性なども丁寧に説明されているので、本作から読んでも問題はないでしょう。

 ただ、2作目には1作目の後日譚的な話が収録されているので、出来るだけ“1作目→2作目”という順番は守った方が良いかもしれませんね。

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 というわけで本作ですが、「傘の花」「最強の盾」「襲撃の準備」「玩具店の英雄」「住宅街の迷惑」「警察官の選択」「警察の幸運」という7つの短編を収録。

 前作では、1作目の主人公・座間味くんと大迫警視正の2人による話でしたが、本作ではそこにもう一人加わり、その人物の目線による物語となっています。

 その人物というのが、過去の実例を元に警察の防犯(警備)について研究を行っている、科学警察研究所勤務の津久井操。

 この3人で定期的に行っている飲みの席で、話の流れで津久井がその時に扱っている実例について説明をすると、それを聞いた座間味くんが別の視点から事件の裏に隠された新事実を推理して見せる、という(2作目と同様の)定番パターンによる作品集なのですね。

 なので安楽椅子探偵的な本格ミステリなのですが、わずかな情報から誰もが気付かなかった真相を見抜いてしまう座間味くんの推理は相変わらずの鋭さで気持ち良いですし、その推理によって事件の様相が驚くほどに反転してしまうのにも爽快さを感じてしまいます。

 まあそれでもやはり石持作品なので、近年作品の特徴でもある登場人物の狂気や歪みなどは今回も炸裂しているものの、ページ数的にも内容的にもサクッと読める短編集であるためか、それほど気にならないのではないでしょうか。

 そして、収録作が全て同じパターンということで、各話の冒頭で軽く描かれる事件のあらましから読者も自然な形で推理に挑戦できるので、そんな参加型ミステリとしても楽しいですからね。

 ただ、別の真相があることを知ったうえでその冒頭部分を読むと、もしかしたら大まかな部分では予想出来てしまうかもしれないため、そんな時はその予想が導き出されるまでの細かい推理もして、座間味くんに挑戦するような読み方をしてみるのも面白いかも。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★★★   鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★        人間味ドラマ度 : ★★
   下ネタエッチ度 : ★         感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★      気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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  > No.383 「見えない復讐」
  > No.350 「この国。」
  > No.297 「リスの窒息」
  > No.293 「君がいなくても平気」

  > No.112 「耳をふさいで夜を走る」
  > No.091 「君の望む死に方」
  > No.089 「心臓と左手 座間味くんの推理」
  > No.070 「月の扉」
  > No.037 「扉は閉ざされたまま」


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