『頼子のために』 法月綸太郎 > 「このミス」完全読破 No.542
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.542
『頼子のために』 法月綸太郎
「このミス」1991年版 : 16位
受賞(候補) :
総合ランキング : 「本格ミステリ・ベスト100」 16位
「本格ミステリ・オールタイムベストアンケート」 92位
年度ランキング :
読始:2012.4.4 ~ 読終:2012.5.30
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1993年5月>
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「雪密室」「誰彼」に続く“法月綸太郎シリーズ”の3作目で、その後に続く「一の悲劇」「ふたたび赤い悪夢」を合わせた三部作の1作目でもあります。
本作が発表された当時はまだ新本格ブーム&バッシングで盛り上がっていた頃で、新本格作家としてデビューした法月綸太郎もそんな喧騒の真っ只中にいました。
しかし本作は、推理作家でありハードボイルド作家でもあるロス・マクドナルドへのリスペクトが込められていることからもわかるように、新本格というよりはハードボイルド色の方が強い作品なのですね。
それもあって、本作が作家・法月綸太郎の最初の転機となった作品との評価もあるのですが、実は本作は、デビュー前の学生時代に推理小説研究会の機関紙に発表した中編を長編化したものなのです。
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というわけで本作ですが、ある人物が書いた手記から始まります。
その内容というのが、17歳の娘を殺された父親(手記の書き手)が、警察の捜査方針に不審を抱き、自ら犯人をつきとめて復讐を果たそうとする、なんとも物騒なもの。
この手記に興味を持った名探偵・法月綸太郎が、事件の真相を明かそうと動き出すわけですが、手記の中から矛盾点や疑問点などを見つけながら推理していくところなど、本格ミステリとしての読み応えがあります。
ただそれでもやはり、事件の関係者に次々と会い、新たな事実を導き出して、真相へと迫っていく行動が中心となるため、ハードボイルド的な面白さが作中からにじみ出ていましたね。
20年以上前の作品であるためか真相にそれほど意外性は感じられないものの、そこに至るまでの綿密でありつつ大胆な構成がさすがですし、賛否両論ありそうなラストにおける主人公の行動など予定調和に終わらない捻くれた所もあるので、初期にして法月綸太郎の様々な魅力が感じられる作品といえるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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