『平蔵の首』 逢坂剛 > 「このミス」完全読破 No.540
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.540
『平蔵の首』 逢坂剛
「このミス」2013年版 : 119位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.5.19 ~ 読終:2012.5.22
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年3月>
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タイトルにもある平蔵とは、長谷川平蔵、つまりは「鬼平犯科帳」の主人公の名前です。
「鬼平犯科帳」といえば、数々の人気時代小説を発表した池波正太郎の代表作であり、その小説を原作としたテレビドラマも長きに渡り放送され、小説版もドラマ版もいまだに熱狂的な人気を誇っています。
そんな「鬼平」を題材に新たな小説を発表するとなると、普通の作家であればなかなか難しいことだと思うのですが、本作の作者である逢坂剛にはその資格が十二分にあるのですね。
というのも、『オール讀物』で池波版「鬼平」が連載されていた際に、その挿絵を逢坂剛の父親である挿絵家の中一弥が描いていた、という縁があったので、平成版「鬼平」を逢坂剛が書くというのは、ある意味運命的なことなのです。
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というわけで本作は、「平蔵の顔」「平蔵の首」「お役者菊松」「繭玉おりん」「風雷小僧」「野火止」の6編を収録したシリーズ短編集です。
火盗改の長谷川平蔵は、その仕事ぶりに町民からの評判も良い一方で、外出時には常に深編笠をかぶって顔を隠しているため、“平蔵の顔をまともに拝んだ盗っ人で、生きて娑婆へ出られた奴は誰もいない(死罪か獄門になった盗っ人しか平蔵の顔を拝めない)”とも噂される、謎の多い人物。
そんな平蔵に対して、犯罪を企てたり平蔵に一杯食わせてやろうと企む悪党の側から見た物語となっています。
この“平蔵の顔が知られていない”という設定が物語に上手く活かされていまして、平蔵の正体(顔)を明かそうと悪知恵を働く悪党、そして顔を知られていないことを利用して一網打尽にしようと策略を巡らす平蔵の、知略戦が繰り広げられるのですね(まあ常に平蔵の圧勝なのですが)。
ガッツリというよりは小気味良い読み応えなのですが、平蔵の策略が驚きも生み出していてミステリ的ですし、話が進むにつれて平蔵の手下が増えていくことから連作としての面白さもあるので、池波版を読んでいないしドラマ版も観ていないので比較はできませんが、続編の期待も高まるほどに逢坂版「鬼平」としての魅力が溢れるハードボイルド時代小説でした。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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