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2012年5月11日 (金)

『地の底のヤマ』 西村健 > 「このミス」完全読破 No.536

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.536

 『地の底のヤマ』 西村健

   「このミス」2013年版 : 5位

   受賞(候補) : 「吉川英治文学新人賞」受賞
            「日本冒険小説協会大賞」受賞
            「福岡県文化賞(奨励部門)」受賞
            (「日本推理作家協会賞」候補)

   総合ランキング : 「この警察小説がすごい! ALL THE BEST」 16位

   年度ランキング : 「週刊文春ミステリーベスト10」 13位

   読始:2012.4.20 ~ 読終:2012.5.2

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年12月>

地の底のヤマ(上) (講談社文庫)地の底のヤマ(上) (講談社文庫)
西村 健

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 西村健は、日本冒険小説協会大賞を2005~2010年の6年間で2度も受賞している作家ですが、「このミス」ランクイン実績はまだありません(「劫火」での“2007年版35位”が最高)。

 しかも本作は(単行本で)860ページの二段組という特大ボリュームの超大作となっているので、「このミス」を基準に読んでいる自分にとってはかなり手の伸びにくい作品でした。

 しかし、発売当初からかなり評判が高かったし、それを証明するかのように早くも吉川英治文学新人賞&日本冒険小説協会大賞(自身3度目)をダブル受賞しているので、逆に読むのが楽しみになってしまったのですけどね。

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 というわけで本作ですが、福岡県大牟田市にある炭鉱町で生まれ育った猿渡鉄男の人生が、昭和49年、昭和56年、昭和64年/平成元年、そして現在と、四部に渡って語られていきます。

 この大牟田市にある三井三池炭鉱では、三池争議と呼ばれる日本中の注目を集めた激しい労働争議や多数の死傷者を出した炭塵爆発事故が過去に起きていて、その影響を地元の町やそこに住む人々が様々な形で長年受け続けているのですね。

 そんな炭鉱町を舞台に四つの年に起きた事件について、二代目警察官でもある主人公が迫っていく警察小説なのですが、それぞれの事件における主人公の年齢や立場・役職が大きく変わることもあり、様々なタイプの警察小説的魅力がありますし、一人の警察官の人生を俯瞰する一代記としての魅力も抜群です。

 そして、各事件に対する捜査ミステリとしてもなかなか面白いだけでなく、作品全体を通しての謎もあり、それが主人公の生き様とも関わってきたりもするので読み応えありますし、警察小説的ミステリ度は(真相の意外性などはそれほどないものの)結構高めなのではないでしょうか。

 ただやはり、本作の一番の魅力といえば炭鉱町を舞台にした人間ドラマでして、主人公と関っていく個性溢れる面々や、労働争議や事故の影響を受ける町の人々など、それぞれの物語を味わってみたいと思わせるほどのキャラクター揃いで、それら人々が生きていく大牟田という町の描写も作者の地元ということもありかなり熱が入っているので、860ページの二段組という特大ボリュームなど気にならないくらいにこの作品の迫力にのめり込んでしまうに違いありません。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★★★☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★       鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★         おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★★★★
   下ネタエッチ度 : ★          感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★★        気軽に読める度 : ★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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