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2012年5月 1日 (火)

『所轄魂』 笹本稜平 > 「このミス」完全読破 No.535

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.535

 『所轄魂』 笹本稜平

   「このミス」2013年版 : 85位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2012.4.13 ~ 読終:2012.4.19

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年1月>

所轄魂 (徳間文庫)所轄魂 (徳間文庫)
笹本 稜平

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 笹本稜平は、2000年のデビュー当時は主に冒険小説を発表していて、「このミス」でも「太平洋の薔薇」が2004年版13位にランクインしています。

 ただ近年は警察小説が中心となっていて、“越境捜査シリーズ”や“素行調査官シリーズ”などシリーズ作品を複数抱えるほどに、警察小説作家としても人気となっていますね。

 そして本作は、新たなるシリーズとなるのではないか?と思われるような警察小説です。

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 主人公は、いわゆる“所轄”である城東署の組織犯罪対策課係長・葛木邦彦警部補で、かつては警視庁に務めていたものの、理由あって自ら所轄への移動を願い出た過去を持つベテラン警察官。

 この城東署管内で殺人事件が発生し、捜査を指揮するために本庁からやって来たのが、邦彦の息子である新人キャリア管理官の葛木俊史。

 管理官として全く経験のない息子が自分の署の捜査本部に来るだけでも動揺しているのに、一緒に警視庁からやって来るのが帳場壊しで知られる悪名高い山岡宗男率いる捜査十三係ということで、邦彦にとっては心中穏やかでない状況となるのですね。

 というわけで、キャリアの息子とノンキャリアの父親の物語を軸に、本庁と所轄との軋轢などを絡めながらの事件捜査が語られていきます。

 “本庁vs所轄”という構図は警察小説の中でもオーソドックスなものとなっていますが、そこに警察官の親子(それも子の方が立場が上)が絡むことで新鮮さが創られていましたし、なにより主人公&所轄にとっては敵役である捜査十三係がなかなか強烈な存在なので、この設定&キャラクターにより興味惹かれる人間ドラマが生み出されていたように思います。

 まあそれでもやはり警察小説としてベタな展開ではあるのですが、タイトルにもなっている“所轄魂”が感動を呼びますし、捜査ミステリ&サスペンスとしても読み応えあるので、あまりに出来すぎな親子関係に引っ掛かりを覚えることがなければ、高水準の警察小説として楽しむことができるのではないでしょうか。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★         おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★★     主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★       人間味ドラマ度 : ★★★★
   下ネタエッチ度 : ★          感涙ウルウル度 : ★★★★
   衝撃バカミス度 : ★★        気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “笹本稜平” 関連記事 】

  > No.775 「失踪都市 所轄魂」
  > No.535 「所轄魂」
  > No.308 「挑発 越境捜査2」
  > No.301 「越境捜査」
  > No.272 「未踏峰」


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