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2012年3月16日 (金)

『PK』 伊坂幸太郎 > 「このミス」完全読破 No.528

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.528

 『PK』 伊坂幸太郎

   「このミス」2013年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2016」 ノミネート

   年度ランキング : 「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
                 (小説ランキング) 31位

   読始:2012.3.10 ~ 読終:2012.3.12

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2012年3月>

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伊坂 幸太郎

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 No.384「マリアビートル」以来1年半ぶりとなる伊坂幸太郎の新作です。

 作者本人によりますと、これまでの伊坂作品は「このミス」1位に輝くなどしたNo.125「ゴールデンスランバー」を境として“第1期”と“第2期”とに分かれるのだそうです。

 両者の違いというのは作者の心持ちによるものなので、自分には正確に説明することは難しいのですが、前者が読者を強く意識したエンタメ作品だったのに対し、後者は作者自身が書きたいものを書いた作品、といった感じでしょうか。

 もちろん“第2期”に当たる時期に発売された中にも、No.310「オー! ファーザー」や「マリアビートル」など、第1期と変わらぬ内容の作品もあるものの、シンプルなエンタメ作品には仕上がっていないその他の第2期作品を読んでみれば、その傾向の違いは感じられるのではないかと思います。

 そして本作ですが、「魔王」や「モダンタイムス」などに通ずるような、やはり第2期寄りの作品に仕上がっていましたね。

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 というわけで本作は、「PK」「超人」「密使」の3作から成る中編集です。

 これらの作品は“未来三部作”と名付けられているのですが、別に空想世界が広がる近未来が舞台であったりとか、SF要素がこれでもかと詰め込まれていたりするわけではありません。

 舞台は現代で、“未来を変えるような決断”が大きなテーマとなっている作品集なのですね。

 味わい深く心に残るエピソードやセリフ、登場人物たちの軽快で粋なやり取りなど、伊坂作品お馴染みの魅力的な要素はそのままに、とても不思議で考えさせられるような物語が繰り広げられていきます。

 そして、各作品内に散りばめられた伏線はもちろん、3作品を通した絶妙な繋がり具合も、相変わらずの見事さでした。

 ただ、その繋がりもシンプルに理解できるというタイプではないですし、短編に近い文量で物語的には読みやすいとはいえ、内容的には結構難解ですんなりと理解しにくかったりもするのです。

 なので、伊坂作品好きの中でも好みは別れそうな感じもしますが、本作が好きな人ならば何度も読み返して作品世界をより深く理解したくなるくらいに好きになるのではないでしょうかね。

 ちなみに、「PK」の冒頭の場面は、イエローカードではなくてレッドカードが妥当なのではないかと思うのですが.....(増刷された際にレッドカードに修正されていました)。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★        鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★       おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★          人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★          感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★        気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “伊坂幸太郎” 関連記事 】

  > No.809 「火星に住むつもりかい?」
  > No.794 「キャプテンサンダーボルト」
  > No.732 「首折り男のための協奏曲」

  > No.695 「ガソリン生活」
  > No.672 「死神の浮力」
  > No.627 「死神の精度」
  > No.618 「残り全部バケーション」
  > No.612 「夜の国のクーパー」

  > No.528 「PK」
  > No.384 「マリアビートル」
  > No.381 「グラスホッパー」
  > No.367 「バイバイ、ブラックバード」
  > No.312 「蝦蟇倉市事件 1」

  > No.310 「オー! ファーザー」
  > No.289 「SOSの猿」
  > No.125 「ゴールデンスランバー」
  > No.084 「アヒルと鴨のコインロッカー」
  > No.021 「重力ピエロ」


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