『星月夜』 伊集院静 > 「このミス」完全読破 No.529
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.529
『星月夜』 伊集院静
「このミス」2013年版 : 85位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.3.13 ~ 読終:2012.3.17
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2011年12月>
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伊集院静といえば、言わずと知れた超大物作家の一人です。
これまでは現代文学作品やエッセーなどを中心に発表してヒットを飛ばしてきた重鎮なわけですが、そんな伊集院静が初めて手掛けた推理小説、ということで話題になっているのが本作なのです。
“初めての推理小説”だからといって、「このミス」の対象になるような作品も初、というわけではありませんでして、ある暗殺者の生涯を描いた「羊の目」が、ランクインは逃したとはいえ「2009年版」で38位になるほどに票を集めまていました。
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老人と若い女性の死体が東京湾で発見。
謎の多いこの事件に対し、刑事たちが死体となった二人それぞれの身元を中心に探っていくと、日本国内の様々な地で繰り広げられてきた、いくつもの人間ドラマが浮かび上がって来て.....。
というわけで本作は、刑事による事件捜査を中心にした社会派サスペンス・ミステリーです。
捜査を行う刑事側も事件の関係者も、数多くの登場人物が出てくるのですが、どちらかといえばそんな人々の人間ドラマを描いていくというよりは、少ない手掛かりを元にしてジワリジワリと真相へと迫っていく捜査が中心といった感じでしたね。
そういった真実へ向かう困難な道が次第に開け進んでいく過程や、全く関係性のなかったエピソードたちが徐々に絡みあっていく展開など静かな迫力がありますし、クライマックスへ近づくほどにに登場人物たちの人間ドラマも浮かび上がって来て、それらが哀しみの情景で彩られていくので、過去の作品と共通するテーマ性も含めてかなりの読み応えがある作品でした。
とはいえ、はやはり“推理小説”ということを意識してか、登場人物たちそれぞれの物語が(登場人物の数が結構多いこともあってか)それほど掘り下げられていなかったりとか、終盤に明らかにされる事件の核心的な人間ドラマ部分が駆け足で説明していたりとか、本作の中でかなりの魅力となりそうな(推理以外の)部分が少し物足りなくも感じたので、あまり推理小説ということに拘らずにそこら辺にも力を入れてくれたらさらに面白くなったのではないかな~と思ってしまいました。
ただ、推理小説は本作で終わりではなく、すでに次の推理小説の連載も始まっているようなので、その作品にも期待したいですし発売が楽しみですね。
> 個人的評価 : ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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