『硝子の葦』 桜木紫乃 > 「このミス」完全読破 No.527
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.527
『硝子の葦』 桜木紫乃
「このミス」2011年版 : 16位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.3.3 ~ 読終:2012.3.5
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 単行本 <2010年9月>
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「このミス」は大体毎年、常連作家の作品や話題になった作品でランキングのほとんどを占めることになるわけですが、その間隙をぬって常連でもなくそれほど話題にもならなかったダークホース的作品がランクインすることが多々あります。
「2011年版」におけるそんなダークホース的作品といえば、本作となるのではないでしょうか。
作者の桜木紫乃は、受賞者の中で後にランクインしたのは佐々木譲のみという「このミス」とはあまり縁のない“オール讀物新人賞”を受賞してデビューとなり、その後に発売された新作も、少なくともミステリ界においては大きな話題になることはありませんでした(たぶん)。
そして本作も、投票締め切り間際の9月に発売されたこともあってか、世間的には「このミス」のランクイン候補にほとんど上がらなかったと思うのですが、特に女性投票者の高い評価を受けて見事ランクインとなったのです。
そんな本作への評価が先見の明だったことは、その翌年(2011年)に発売された「ラブレス」が、「このミス」向きの内容ではなかったので票はあまり入らなかったものの、一般的にもかなりの評判となったうえに、直木賞候補&吉川英治文学新人賞候補になったことからもわかりますね。
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というわけで本作ですが、かつて自分の母親の愛人だったラブホテル経営者と結婚し、悠々自適な生活を送っている女性が主人公。
この主人公の身近に大きな事故が起きたのをきっかけにして物語は大きく動き出していくのですが、その後の展開はまさに予測不能なのですね。
基本的にちょっとドロドロとした恋愛話が中心となるものの、子供への虐待や女性グループ間のやり取りなど別の意味でドロドロとしたイヤミス的流れになったかと思えば、サスペンスやクライムノベル的展開となったりで、話の流れていく先が予測つきません。
しかもそんな流れの中心にいる主人公というのが、元々冷静で感情をあまり表に出さない性格であるうえに、その内面描写がほとんど描かれないため、主人公はもちろん作品世界からも得体の知れない雰囲気やスリルあるドキドキ感が生み出されて、進む先が益々予測不能にさせるのです。
ただ逆に言えば掴み所のない作品ということで、登場人物たちに共感を得にくいということもあり好き嫌いは分かれそうなタイプなので、万人向けとは言えなさそうですが、系統の似ている桐野夏生作品好きの人とか、後は意外にもハードボイルド系の作品が好きな人にもお薦めかもしれませんね。
> 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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