『地層捜査』 佐々木譲 > 「このミス」完全読破 No.522
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.522
『地層捜査』 佐々木譲
「このミス」2013年版 : 29位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2012.2.23 ~ 読終:2012.2.23
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2012年2月>
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“警察小説ブーム”が巻き起こってから数年経つ現在でも衰えることを知らないほどに盛り上がっているので、警察小説は今やジャンルとして完全に確立された感があります。
そのためいわゆる“警察小説作家”も数多く存在し、ベストセラー作品を生み出しているのですが、そんな中でも「このミス」常連作家となれば、佐々木譲と今野敏の2人に絞られるでしょう。
そんな「このミス」常連警察小説作家の一人である佐々木譲の2012年最初の新作となるのが本作でして、帯にも“待望の新シリーズ開幕!”と書かれているように、本作を1作目として今後シリーズ作品が発表されていくようですね。
ちなみに、本作刊行を前にしてすでに舞台化されていたりもします(L'avance参照)。
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2010年の公訴時効撤廃を受けて、15年前に東京・荒木町で起きたものの未解決となっていた老女殺人事件が再捜査の対象となることに。
この任務に当たるのは、不祥事を起こしたため特命捜査対策室に移動となった水戸部裕。
事件とこの町のことををよく知る、元刑事で現在は定年退職している加納良一を捜査員として迎え、2人で手掛かりがわずかとなっているこの事件の捜査を行っていくことに.....。
というわけで本作は、東京都新宿区にある荒木町という小さな町を舞台としています。
この荒木町は、かつては花街(遊女屋や芸妓屋が集まっている区域)として栄えていた町で、現在もその名残は残っているのですが、そんな伝統と歴史のある町に住む人々への聞き込みを中心にして、事件の捜査を行っていくのです。
佐々木譲作品といえば、警察官同士や刑事と容疑者、被害者と犯人などの警察小説的人間ドラマ部分もかなり面白く読み応えあるのですが、本作の場合は主人公のバックグラウンドも含めてそういった人間ドラマ部分にはほとんど力を入れていなくて、その分を地道な聞き込みを中心とした事件捜査に力を注いでいるかのようなのですね。
そのため、まるで硬派な本格ミステリと似たような読み応えで、他作品と比べると地味めな印象もあるので、熱い警察ドラマ・刑事ドラマや意外性のある展開・真相など派手な要素を期待してしまうと物足りなさを感じてしまうかもしれません。
とはいえ、15年も前の事件を徐々に掘り下げていくのと同時に、このかつて華街であった町の歴史や人間模様がジワリジワリと浮かび上がっていく様は、かなりの読み応えがありますし、この味気ないタイトルも読んでいくうちに深みと重みが感じられてくると思うので、事件捜査&推理の過程をじっくりと楽しむタイプの警察小説といえるでしょう。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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