『奇面館の殺人』 綾辻行人 > 「このミス」完全読破 No.517
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.517
『奇面館の殺人』 綾辻行人
「このミス」2013年版 : 9位
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 3位
「週刊文春ミステリーベスト10」 7位
「ミステリが読みたい!」 8位
「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」
(文庫ランキング) 20位
(小説ランキング) 33位
読始:2012.1.6 ~ 読終:2012.1.13
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : ノベルス <2012年1月>
![]() | 奇面館の殺人(上) (講談社文庫) 綾辻 行人 講談社 2015-04-15 売り上げランキング : 26282 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
No.284「十角館の殺人」、「水車館の殺人」、No.284「迷路館の殺人」、「人形館の殺人」、「時計館の殺人」、「黒猫館の殺人」、「暗黒館の殺人」、「びっくり館の殺人」に続く、“館シリーズ”の9作目です。
なお、“館シリーズ”の新作としては6年ぶりであり、前作「びっくり館の殺人」はジュブナイル系の講談社ミステリーランドから発売された異色作ということもあって、最初に講談社ノベルスから発売された“館シリーズ”の新作としては実に8年ぶりとなりなるのです。
まあこのシリーズは言うまでもなく綾辻行人の代名詞的な人気シリーズですが、1作目の「十角館の殺人」で衝撃的なデビューを飾り、その後の“新本格ブーム”の先陣を切る役割を果たしたことから、日本の本格ミステリを振り返るうえでも重要な作品でありシリーズといえるでしょう。
ただ、この“新本格ブーム”とは、絶賛と酷評とが激しく入り混じった賛否両論巻き起こる盛り上がりでしたし、それもあってかブームが収束してくると、新本格系の作品には前時代的な古臭いイメージだけが残ってしまったようなのです。
とはいえ、様々なタイプのミステリが出尽くした感のある現在では、こういった“古き良き本格ミステリ”が歓迎される風潮になっている感があるので、綾辻行人自身もNo.252「Another」で大復活を遂げたこともあり、まさに絶好のタイミングでのシリーズ復活なのではないでしょうかね。
ちなみに、事件自体は別なのでどの作品から読んでもそれほど問題ないと思いますが、本作の中でも過去の館における事件について(ネタバレはないものの)触れられる場面もあるので、急いで最新作を読みたいのでなければ、やっぱり1作目から順に手を出していくのが一番良い読み方なのかもしれません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ミステリ作家・鹿谷門実が訪れたのは、都内の外れに建つ影山家の別荘・奇面館。
鹿谷以外にも5人の男が招かれたこの館には、主人も使用人も客人も、個室以外では仮面をかぶらなければいけないという奇妙なルールが。
季節外れの吹雪により館が孤立する中、凄惨な殺人死体が発見されて.....。
というわけで、陸の孤島と化した館で殺人事件が起きるという、やはり“館もの本格ミステリ”の定番的な設定となっていますが、内容の方もまさに“正統派本格ミステリ”といった感じでした。
次々に殺人事件が巻き起こっていくサスペンス要素のあるタイプというよりは、一つ一つの事件・謎についてじっくりと推理してじっくりと真相に近づいていくので、パズラー的なタイプといえるでしょう。
なので、物語やストーリーなどを中心に楽しみたいというような人だと読み進めるのが辛くなってしまうかもしれませんが、綿密に構成された謎・伏線・推理に、ミステリのセオリーをくすぐるかのようなトリック、そしてこのシリーズだからこその大胆な仕掛けなど、本格ミステリ好きならば懐古の情も含めて楽しみ堪能できる作品に仕上がっているのですね。
ただ、ド派手だったり衝撃的だったり圧倒されたりするような大作タイプではなく、謎と推理をじっくりと味わう良作タイプなので、“大傑作を読むぞ!”とあまりに高い期待と共に読んでしまうと、少々物足りなさを感じてしまうかもしれないのでご注意を。
> 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★★ おどろおどろ度 : ★★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★
衝撃バカミス度 : ★★★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
【 ”綾辻行人” 関連記事 】
> No.680 「Another エピソードS」
> No.630 「霧越邸殺人事件」
> No.517 「奇面館の殺人」
> No.284 「迷路館の殺人(十角館の殺人)」
> No.252 「Another」
「贖罪の奏鳴曲」中山七里 <<< PREV/NEXT >>> 「謎解きはディナーのあとで2」東川篤哉
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
>>> 「このミス」完全読破 説明&読破本リスト <<<
« 【京都牝馬S&根岸S(2012年)>予想&結果】 | トップページ | <JC1巻買い> 「ST&RS -スターズ-」 竹内良輔 ミヨカワ将 »
「01.「このミス」完全読破(ミステリ小説)」カテゴリの記事
- 「このミステリーがすごい!2022年版」ランキング(順位)予想(2021.02.03)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年2月)(2021.01.31)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2021年1月)(2021.01.21)
- 「このミス2022年版」月別ランクイン候補作品(2021年1月)(2021.01.09)
- 「このミス」ランクイン作品文庫化リスト(2020年12月)(2020.12.20)