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2012年1月 8日 (日)

『帝王、死すべし』 折原一 > 「このミス」完全読破 No.512

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.512

 『帝王、死すべし』 折原一

   「このミス」2013年版 : 119位

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.12.19 ~ 読終:2011.12.21

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年11月>

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 結構物々しいタイトルなんで、歴史スペクタルものや裏社会クライムノベルものかと思われてしまいそうですが、実は中学生とその父親が主人公の現代的なミステリ作品なのです。

 折原作品には、実際に起きた事件をモチーフにした作品が多いという特徴があるわけですが、本作の場合は、1999年に京都で起きた「てるくはのる事件(京都小学生殺害事件)」がモチーフとして使われています。

 ただ、実在の事件を下敷きにして架空の事件・物語を作り上げる、といったよくあるパターンとは少々違いまして、実際の「てるくはのる事件」に影響を受けた人物が主人公となっているのですね。

 なので、「てるくはのる事件」についての知識があった方がより楽しめるのかとも思いましたが、ただ作中でこの事件に付いて説明されていますし、謎の言葉“てるくはのる”が意味するものも作中で知った方が面白そうなので、読む前にこの事件に付いて調べる必要はないでしょう。

 あと、折原作品にはそれ以外にも代表的ともいうべき特徴があるのですが、それが何を示しているのか知らずに、本作を必ず読もうと思っている方がいらっしゃいましたら、この記事のこれより下や他サイトの感想などは見ずに、まずは本作自体を読んでしまうことをお薦めします。

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 中学生の息子を持つ父親が、ある日息子の部屋で謎の本を発見。

 その本には、“帝王”からイジメを受けている息子の日記がつづられていたのです。

 息子をイジメから守るため、そして息子の狂気を止めるため、父親は動き始める.....。

 というわけで、「てるくはのる事件」を絡めつつイジメ騒動について語られていくミステリ作品です。

 イジメそのものを描いているというよりは、イジメを受けることで次第に狂気をはらんでいく中学生の心情と、そんな息子をなんとか救おうと奮闘する父親の行動がメインとなっているので、サスペンス的な雰囲気で物語は進んでいきます。

 そして、叙述ミステリの名手の作品だけあって、クライマックスではアッと驚いてしまうわけですが、そんな仕掛けが施されていると分かっていながらも全く予測できずに素直に驚かされてしまいますし、そこに至るまでのドキドキ感も“ならでは”の楽しさがあったので、やはり期待通りの驚き&面白さでした。

 ただ、イジメを受ける少年の日記がつづられていって最後にはアッと驚くどんでん返し、といった基本部分が、約2年前に発売されたNo.218「絶望ノート」歌野晶午と一緒なので、ちょっと新鮮味には欠けてしまいましたかね。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★★★    おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★★       主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★         人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★        感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “折原一”関連記事 】

  > No.691 「潜伏者」
  > No.512 「帝王、死すべし」

  > No.407 「追悼者」
  > No.338 「赤い森」
  > No.325 「倒錯のロンド」
  > No.231 「逃亡者」
  > No.153 「倒錯の死角」


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