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2011年12月14日 (水)

『消失グラデーション』 長沢樹 > 「このミス」完全読破 No.510

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.510

 『消失グラデーション』 長沢樹

   「このミス」2012年版 : 6位

   受賞(候補) : 「横溝正史ミステリ大賞」受賞

   総合ランキング :

   年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 6位
              「週刊文春ミステリーベスト10」 11位

   読始:2011.12.9 ~ 読終:2011.12.10

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"

   読んだ版 : 単行本 <2011年9月>

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 今年(2011年)の横溝正史ミステリ大賞受賞作です。

 横溝正史ミステリ大賞というのは新人賞なので、本作でデビューとなったわけですが、そのデビュー作でいきなり「このミス」で6位にランクインしたのですねェ。

 しかも、横溝正史ミステリ大賞受賞作で「このミス」にランクインしたのは、これまで小川雅巳の「葬列」(2001年版16位)のみと、「このミス」と相性の良い新人賞というわけでもないのです。

 新人賞でベスト10入りというだけでもそうそうないことなのに、しかも「このミス」実績のほとんどない新人賞受賞作でのベスト10入りというところからも、その高い評価が窺い知れると思います。

 ちなみに、「本ミス」の方でも6位にランクインしているのですが、その「本ミス」で毎年実施されている“装幀大賞 選考座談会”では見事に大賞を受賞していますね。

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 というわけで内容の方ですが、その表紙からもわかるように、高校を舞台にした学園青春ミステリです。

 前半は、女癖の悪い主人公を中心にして、校内への侵入者を警戒したり、最近チームから孤立化するようになった女子バスケ部のエースにまつわる騒動などが描かれていきます。

 この部分はまだミステリ的には助走の部分なのですが、それでも過去話を絡めつついくつもの謎を散りばめて後半への期待を自然と湧き上げていますし、青春ドラマの面でもこれが新人賞受賞作であることを忘れてしまうほどにのめり込んでしまったので、この時点で“さすがは上位に入っただけあるな”と感じさせられました。

 そして中盤において消失事件が勃発したのをきっかけとして、主人公と行動を共にする同級生が探偵役に、主人公がその助手のような役となって事件の謎の真相へと迫っていく、本格ミステリ的な展開に突入していくのです。

 その捜査シーンにおいても、探偵が様々な場所で事件の手掛りを入手していくのに、読者の目線でもある主人公には何が手掛かりなのがわからないまま進んでいくので、そんな謎の膨らませ方が、終盤における真相開陳のたたみ掛けに効果的だったように思いました。

 そのクライマックス場面では、真相が明らかにされると同時に驚きの事実も判明するのですが、賛否両論別れてしまうようなタイプかもしれません。

 本作の中でも一番派手な部分ということもあり、そこを受け入れられないと本作全体の評価も下がってしまいそうではありますが、それだとちょっともったいないので、そこに至るまでの展開や仕掛けなどを充分に堪能して、クライマックスに関しては念のためにそれほど期待を高めずにオマケ程度に考えて読むのが良いのではないでしょうか。


  > 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★★★    鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★★★    おどろおどろ度 : ★★
   熱アクション度  : ★★         主キャラ魅力度 : ★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★★★★      人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★★★★     感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★★     気軽に読める度 : ★★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


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  > No.706 「上石神井さよならレボリューション」
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