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2011年11月28日 (月)

『真夜中の探偵』 有栖川有栖 > 「このミス」完全読破 No.503

「このミステリーがすごい!」完全読破 No.503

 『真夜中の探偵』 有栖川有栖

   「このミス」2012年版 : 投票数0

   受賞(候補) :

   総合ランキング :

   年度ランキング :

   読始:2011.11.14 ~ 読終:2011.11.15

   読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"前"

   読んだ版 : 単行本 <2011年9月>

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有栖川 有栖

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 No.355「闇の喇叭」に続く、“空閑純シリーズ”の2作目です。

 その昨年(2010年)に発売された前作は、シリーズのプロローグ的な内容に感じられたものの、作者自身はシリーズ化を前提に書いたわけではなかったそうなので、こうして続編が発表されたのは本当に嬉しい限りですね。

 ただ本作の発売に関しては、作者の心持ち以上に障害となるものがありまして、前作は理論社の叢書“ミステリーYA!”から発売されたのですが、前作発売の約3ヶ月後に、理論社が民事再生法の適用を申請(いわゆる倒産)したのです。

 そのために続編を発表したくてもする場がなくなってしまったわけで、一体どうなってしまうのかと思っていましたら、講談社から前作の再発版と続編が同時発売されるという、大変有難い展開となったわけです。

 なお、このシリーズの作中世界はかなり特殊な設定となっていますし、主人公の精神的な柱となる部分が前作で描かれているので、前作から順に読むことをお薦めしますね。

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 というわけで本作は、主人公である少女探偵・ソラが手掛ける最初の事件の物語です。

 このシリーズの作中設定を簡単に説明してみますと、太平洋戦争末期を分岐点にして現実世界とは少し違った姿に成長したパラレル日本が舞台となっていまして、この世界ならではの設定がいくつもあるのですが、その中で一番ミステリ作品として影響あるのは、“探偵行為が法律により禁止されている”ことでしょう。

 そんな世界において、あえて探偵を目指す少女が主人公ということもあり、主人公の人間的&探偵的成長物語に軸を置いているので、“探偵小説”といっても、探偵が活躍する本格ミステリというよりは、探偵そのものに焦点を当てた“探偵小説”なのですね。

 そのため、謎めいた殺人事件が起きて真相や真犯人を巡っての推理が行われるものの、本格ミステリとしての読み応えはそれほどでもないので、本格ミステリや一般的な意味での探偵小説を期待してしまうと肩透かしとなってしまうかもしれません。

 それよりも、本格ミステリ的な事件を通して見えてくる主人公の(特に探偵としての)成長物語を味わいつつ読めば、このシリーズならではの魅力や読み応え・作者の狙いを楽しめると思うし、続編の発売がまた待ち遠しくなるのではないでしょうか。


  > 個人的評価 : ★★★★☆ ☆☆☆☆☆


   本格ミステリ度  : ★★★★     鬼畜グログロ度 : ★★
   ビックリ驚愕度  : ★★★       おどろおどろ度 : ★★★
   熱アクション度  : ★★        主キャラ魅力度 : ★★★★
   恋愛ラブラブ度 : ★          人間味ドラマ度 : ★★★
   下ネタエッチ度 : ★          感涙ウルウル度 : ★★
   衝撃バカミス度 : ★★★       気軽に読める度 : ★★★

  * <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!


  【 “有栖川有栖” 関連記事 】

  > No.959 「狩人の悪夢」
  > No.853 「鍵の掛かった男」

  > No.727 「江神二郎の洞察」
  > No.677 「論理爆弾」
  > No.503 「真夜中の探偵」
  > No.422 「長い廊下がある家」
  > No.355 「闇の喇叭」

  > No.216 「赤い月、廃駅の上に」
  > No.093 「女王国の城」
  > No.081 「双頭の悪魔」
  > No.067 「孤島パズル」
  > No.061 「月光ゲーム」


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