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「このミステリーがすごい!」完全読破 No.501
『嫉妬事件』 乾くるみ
「このミス」2013年版 : 投票数0
受賞(候補) :
総合ランキング :
年度ランキング : 「本格ミステリ・ベスト10」 28位
読始:2011.11.11 ~ 読終:2011.11.11
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 文庫本 <2011年11月>
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乾くるみの新作は、いきなりの文庫での発売となりました。
なお、乾作品には、別に登場人物や世界観が共通しているわけではないのだけれど、作品ごとに1枚のタロットカードがモチーフとなっているシリーズがあるのですが、本作は“THE EMPRESS(女帝)”に当たります。
時は1984年の末、城林大学ミステリ研究会の面々は、年に一度開催される“犯人当てイベント”に参加するため、部室へと集合。
しかし、部室内の本棚に並べられた本の上に、あってはならない“ある物”が置いてあったことから、イベントそっちのけで犯人探しが始まるのでした.....。
この“ある物”というのが本作において重要な役割を果たすわけですが、別にネタバレなどではないものの、裏表紙のあらすじにも表帯にも“ある物”の正体ははっきりとは書かれていないので(裏表紙側の帯には書かれていますが)、この記事内でもあえて書かないことにいたしましょう。
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この“ある物”が本当にどうしようもない物なので、その時点で本作は明らかにバカミスなわけですが、それなのに真面目に推理合戦が繰り広げられるので、この真剣さとバカバカしさの融合によりバカミスとしても一段レベルが上がっていますね。
そして本格ミステリ部分を中心に見てみますと、論理性や組み立て方や言葉遊びなど、乾くるみらしさが込められていてなかなかの読み応えですし、唖然とさせられてしまう真相など、“ある物”以外にも随所に遊び心が散りばめられているので、誰もが楽しめる作品というわけではないけれど、バカミス好きにはたまらない作品なのではないでしょうか。
あと本作には、表題作の他にボーナストラックとして短編「三つの質疑」が収録されているのですが、これは表題作の作中作のようなものだったりもするので、そんな遊び心も嬉しいものです。
ちなみに、この表題作の事件というのは、現実に起きた事件、しかもかの有名な“京大ミステリ研”で実際に起き今では伝説になっている事件をモデルにして書かれたのだそうです。
もちろん犯人や真相などは本作オリジナルで、“部室の本棚に"ある物"が置いてあった”という部分をモデルにしているのですが、本書の巻末に載っている「解説」では、元ネタとなった“京大ミステリ研○○○事件”についても京大ミステリ研OBの我孫子武丸が詳しく説明しているので、本作は“「解説」まで含めて一つの作品”といえるのではないでしょうか。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★☆☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★★★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★★★ 人間味ドラマ度 : ★★
下ネタエッチ度 : ★★★★ 感涙ウルウル度 : ★
衝撃バカミス度 : ★★★★★ 気軽に読める度 : ★★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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