『魔術はささやく』 宮部みゆき > 「このミス」完全読破 No.500
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.500
『魔術はささやく』 宮部みゆき
「このミス」1991年版 : 9位
受賞(候補) : 「日本推理サスペンス大賞」受賞
総合ランキング :
年度ランキング :
読始:2011.11.7 ~ 読終:2011.11.8
読んだ時期: 「このミス」ランキング発表"後"
読んだ版 : 文庫本 <1993年1月>
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“「このミス」完全読破”も、これでとうとう500作品目となりました。
2006年2月に始めてから5年と9ヶ月での500作品突破ということで、このペースが一般的には早いのか遅いのかはわかりませんが、年に1冊読めば良い方でミステリ小説など意識して読んだことがなかった状況から始めたことを思えば、500作品も読んだことは自分としてはかなりの驚きですし、500作品分の感想記事を書いてきたってことにも信じられない気持ちですねェ。
それで記念すべき500作品目ですが、あまり意識して読む本を決めたわけではなかったものの、結果的に本作となりました。
まあ、一番最初のナンバリング作品であるNo.01「模倣犯」と同じ作者ですし、後にその「模倣犯」で1位になるなど「このミス」上位の常連となる宮部みゆきの一番最初の出世作(日本推理サスペンス大賞受賞作)なので、500作品目を飾るには大変ふさわしい作品といえるのではないでしょうか。
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都内において、自殺としか思えない2人の女性の死亡事故が、1ヶ月の間をあけて発生。
これらの事故の相互関係を誰にも気付かれないまま、今度はタクシーの目の前に飛び出すという3人目の死亡事故が発生。
さらに4人目に魔の手が伸びる中、3人目の事故により逮捕されたタクシー運転手の甥である高校生が、伯父の無実を信じて素人ながらに探っていくと、事件に隠された真相と、自らの過去の因縁とが次第に明らかになっていくのです。
というわけで、長編としては「パーフェクト・ブルー」に続く2作目となるわけですが、それでもスリル溢れるサスペンス的展開に、ミステリ的な謎と構成が仕掛けられていて、社会問題がテーマとして込められ、SF的な要素もあり、少年素人探偵が活躍するという、その後の宮部作品に見られる特徴が、この時から全て注ぎ込まれていたのには驚かされました。
それに、本軸としてのストーリーが素晴らしいのはもちろん、そこに肉付けされるサブエピソードの数々がいずれも魅力的で、それぞれを一つの短編として読んでもかなり面白そうなのを、惜しみなく一つの作品に組み入れてしまっているのも凄すぎです。
さらに、これは文庫版の解説にも書かれていましたが、普通の作品ならばクライマックスとなるであろう場所では終わらずに、そこから真のクライマックスを作り上げてしまうというとんでもなさなど、デビューして間もない頃に発表された作品とは思えないくらいに読み応え抜群な内容なのですね。
まあ、携帯電話がまだ存在していなかったりとか、今では“そういえばそんなモノもあったなったな~”と過去の遺物的に思ってしまうようなツールが最新情報として登場するなど、やはり約20年前の作品であることはそこかしこで感じられはするものの、そんなことは気にならないくらいにのめり込みつつ読み入ってしまうこと間違いなしなので、最近の宮部作品のファンはもちろん、まだ宮部作品を読んだことがない人にも大いにお薦めです。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★
ビックリ驚愕度 : ★★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★★ 気軽に読める度 : ★★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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