『機龍警察 自爆条項』 月村了衛 > 「このミス」完全読破 No.492
「このミステリーがすごい!」完全読破 No.492
『機龍警察 自爆条項』 月村了衛
「このミス」2012年版 : 9位
受賞(候補) : 「日本SF大賞」受賞
総合ランキング : 「SUGOI JAPAN Award 2015」 ノミネート
* シリーズとしてノミネート
年度ランキング : 「ベストSF2011」 11位
「ミステリが読みたい!」 12位
読始:2011.10.13 ~ 読終:2011.10.20
読んだ時期 : 「このミス」ランキング発表"前"
読んだ版 : 単行本 <2011年9月>
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No.390「機龍警察」に続く、シリーズ2作目です。
デビュー作でもあるシリーズ1作目は、最初から文庫での発売だったのですが(ちなみにデビュー2作目の「機忍兵零牙」もいきなり文庫)、本作はなんとハードカバーで発売。
値段的には2倍以上になるため、購入するのにもちょっとだけ躊躇してしまったのですが、実際に読み終えてみたら、2作目からハードカバーになったのにも納得できるくらいの、前作とは比べ物にならないくらいに読み応えのある内容でした(後から考えてみたら、本作が文庫だとしたら少なくとも上下巻になっていただろうから、値段的にもそう変わらなかったでしょうね)。
(後日追記:約1年後に文庫化されましたが、やはり上下巻での発売でした)
それでまあ、前作とは発売形態が異なることからもわかるように、前作を読んでいなくても付いていけるように説明がなされていますし、前作とは違った事件が繰り広げられていくので、本作からいきなり読んでも大丈夫でしょう。
ただ、前作から本作、そして次作へと繋がっていく、シリーズを通して展開していく大きなストーリーがありますし、人間関係や組織関係、登場人物たちそれぞれの立ち位置などを事前に把握しておいた方が物語にすんなりと入っていけると思うので、前作から順に読むことをお薦めしますけどね。
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このシリーズの作品設定を簡単に説明しますと、主な舞台となるのは近未来の東京で、警視庁の特捜部という部署が中心となっています。
この特捜部というのが、近接戦闘兵器の最新型である機龍兵(全長3mくらいの、人が乗り込む二足歩行マシン)を導入した新設部署なのですが、その設立過程や活動内容が原因で警察組織内で敵視されるほどに嫌われていますし、外注の傭兵パイロットがいることで部内でも対立関係が生まれているのです。
そんな特殊な立場にある特捜部による事件捜査が描かれていく近未来警察小説なのですが、SF的な設定(機龍兵など)の基本説明は前作で済んでいることもあってか、冒頭から直球ともいうべき(署内のやり取りを中心とした)捜査サスペンスが繰り広げられていくので、警察小説としての読み応えは前作と比べても圧倒的にアップしていました。
そして本作では、北アイルランドに住む一人の少女が一流のテロリストに成長し、そのテロ組織を裏切るところまでが語られていくという、主要人物の過去話が並行して描かれていきまして、これが海外翻訳小説のような雰囲気を醸し出しているだけでなく、壮絶な世界に生きる少女の内面と外面とをじっくりと描いているので、警察小説部分とはまた違った魅力が溢れているのです。
そんな現在と過去の物語が合流して押し寄せるかのように突入していくクライマックスが、大迫力と共に繰り広げられるのはもう必然のことで、機龍兵などこの作品世界ならではの要素も全開で投入してくるので、読んでいて圧倒されるほどの凄まじさがありました。
まあ、こういった近未来兵器が出てくるようなSF小説やアニメ等を少しでも読んで(観て)いないと、バトルシーンなどイメージしにくくて面白さが伝わりにくそうではありますが、ただ大部分はSF設定など気にせずに楽しむことができる内容になっていると思いますし、全ての要素で前作の何倍もパワーアップしているので、前作を読んだ人はもちろん、未読の人にも(前作共々)お薦めですね。
> 個人的評価 : ★★★★★ ★★☆☆☆
本格ミステリ度 : ★★ 鬼畜グログロ度 : ★★★
ビックリ驚愕度 : ★★ おどろおどろ度 : ★★
熱アクション度 : ★★★★★ 主キャラ魅力度 : ★★★★
恋愛ラブラブ度 : ★ 人間味ドラマ度 : ★★★★
下ネタエッチ度 : ★ 感涙ウルウル度 : ★★★
衝撃バカミス度 : ★★ 気軽に読める度 : ★★
* <個人的評価&項目別評価>の説明はこちら!
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